JPEG画像のブロックノイズってきれいだなと思う。

このJPEG特有の、8ドット×8ドットで構成されるブロックパターンに、グラフィカルな美しさがあるという見方を教えてくれる作品に、トーマス・ルフのJPEGシリーズがある。上の画像は、家の前で適当に撮った写真に、それ風の加工を加えたもの。

作家本人は確か、「デジタル画像が、単なる抽象的な正方形の色面の集積でしかないという構造を見せつつ、人のイメージの認知力を問う…」みたいな解説をつけていたように記憶しているけれども、個人的には、この人は高圧縮のJPEG画像の、この独特の肌理を格好良いと思ったのだと思う。アナログレコードのクラックノイズとか、オフセット印刷の網点パターンとかと同じで、技術に依存して発生してしまう独特の表情に惹かれたのだと思う。この手のノイズは、「味」として解釈できる。

上で、「それ風の加工」と書いたが、この画像自体は、単に圧縮率を限界近くまで上げたJPEG画像を拡大すればよいだけなので、ほぼ誰でも作れる。こういう風に、手法自体が作品化していて、なおかつその手法が、ほぼ誰にでも開かれている類の芸術には凄く惹かれる。オープンな技術や簡素な仕組みで様式レベルの美を作れるのはすばらしい…。

先日、GoogleがJPEGに代わる新画像圧縮技術WebPの仕様を公開したとかで話題になっていたが、このWebPはどのような肌理をもった技術なのか…WebPフォーマットのファイルを表示できるアプリケーションがまだ無いので分からないが、いずれGoogle Chromeが対応する時を待ちたい。