The Wapping projectという、水力発電所跡地をギャラリーとして改築した施設を見に行く。このギャラリーは、近隣住民との争いの末、来週末で閉鎖されることが決定しているらしく、これが最後の展覧会になるとのことだった。
当時の発電機がゴロゴロと置かれているスペースにテーブルと椅子が並べられてカフェになっている。
展覧会の内容は、photographic esseyと称した写真のスライドショー形式で綴られる物語で、極北の海辺の風景と、犬の鳴き声や風の音、波の音などが反響する真っ暗な展示室なかで投影されていた。
内容は非常によく、ノルウェイの作家 Henric Ibsenの「The lady from sea」という物語をベースにして新たに書き起こされたものらしかった。物語は一連の静止画で構成されていて、セリフなどの明確に物語を記述する要素はいっさいないが、極北の地の、辺境の村で生まれた女性の不倫の物語のようだった。裕福な町医者との結婚生活に満たされないものを感じていた女が、かつての恋人で、村に留まり厳しい自然の中で猟をしながら暮らしていた男のもとに戻り、新しい生活を始めるも、最終的にはまた町医者の元に戻っていくという話。この展示の写真が非常にきれいだったので、喪失感がよく映えていた。
施設の外には、展示とは関係なく、青いドアが地面に刺さっていた。
あと施設と何の関係もないが、近所に謎の遊具施設がありカオスな色彩で面白そうだった。