月別アーカイブ: 2013年12月

赤灯回して

夜、Vortex Jazz ClubにIan Shawという人のライブを観に行く。最初、Cafe OTOに行ったのだが、当日券があると思ったチケットが売り切れており、そのまま無意味に帰宅するのもはばかられたので、Vortexに行ったところ、まだ席があるようだったので、滑り込んだ。音楽が聴ければもはや何でも良かった。

_DSC9304

正直、全く知らない人だったが、ジャズ・ボーカリストとしては著名な人らしかった。コメディアンとしての顔もあるらしく、有名なポップスの歌詞をもじって歌ったり、曲の途中でブレイク代わりにジョークを挟んだりしていて、客の笑いを積極的に誘っていた。もともとジャズにあまり興味が無いので、正直なところ、音楽自体は面白くもつまらなくもないという感じだったが、この、歌に対し漫談の比重が高いスタイルは妙に既視感があり、途中からどうも芸風がさだまさしに似ているという事に気づいた(単語の区切りが分かりにくいので、以下、佐田と記載)。そもそも年末に年越しライブをやっている時点で佐田の要素が入っているが、取ろうとしている笑いの質も似ていて、「もし13歳に戻れたなら〜」といった歌詞の曲では、「13歳だったころ、私は独身でいられたのに…」といって中年の受けをとっていたり、休憩に入る前の曲で「どうしてもおしっこに行きたいのでもう曲を終わろう〜」みたいに歌ったりして枯れた笑いを誘っていた。普通にしゃべっている途中で、いきなり朗々と歌を開始するというミュージカル的スタイルも佐田がよくやっているが、このIan氏も多用していた。笑いの質が自分の年代と比して枯れ過ぎていて、客は皆笑っているのに、笑い声を聞けば聞く程、自分の意識が冷めていくのを感じるあたりも佐田の印象に似ていた。佐田の曲は、非常に良い曲が多いと思うのだけど、個人的にはあの漫談が馴染めない…。

_DSC9306 _DSC9308

ライブ中に2014年を迎え、1時頃、店を出た。ショーディッチ付近に移動して、少し街を歩いた。通りは結構な人であふれていて、パブやクラブなどは年明けではしゃぐ人々で賑わっていた。

_DSC9312 _DSC9315帰宅時、道路が尋常でなく混んでいて、交通情報を知らせるスマートフォンのマップを見たところ、ほとんどの道が、混雑度MAXを示す真っ赤な色に染まっていた。帰宅に通常の3倍近くの時間がかかった。パトカーと救急車の出動率も尋常でなく、数えきれないくらいの緊急車両とすれ違った。泥酔しているのか何なのか知らないが、犬猫レベルのかなり危険なタイミングで道路に飛び出して横断しようとする人がかなり多く、その上、凄まじい渋滞で、交通法規を無視しまくった、マナー違反の悪魔と化した多くの車両が危険な走行をしていたので、事故が多発するのもうなずけた…。こちらの年始は静かなものかと思っていたが違った。自分は、皆が騒ぐ記念日より、皆が静まり返る記念日のほうを好みたいと思っているので、静かなものであって欲しかったが、当然そんなはずは無かった…。

Winchester

突発的にロンドンから車で1時間少々離れた南西の街、Winchesterへ行った。イギリスの首都がロンドンに移るまで、首都として機能していた古都。朝から嵐のような暴風雨が降っていたので、半ば終わったなとあきらめつつ車を走らせていたが、着く頃には奇跡的にカラリと晴れた。

_DSC9211

街の感じも古っぽく、一部の古い建物の外壁にはフリント(燧石)が埋め込まれていて、荒く割った形が特徴的で面白い。

_DSC9218

この街で最も有名な建造物、ウィンチェスター大聖堂を見た。ヨーロッパ中でも有数の巨大さを誇るゴシック様式の聖堂とのことで、空間の量感に圧倒される感があった。

_DSC9225 _DSC9239 _DSC9241 _DSC9244 _DSC9248 _DSC9251

実は目当ては聖堂本体でなく、その地下室に展示されているイギリスの彫刻家アントニー・ゴームリーのSound Ⅱという彫刻を見ることだったのだが、地下室が開いている時間が限られていて、最初に来た時は早すぎたため、2時間ほど他を見てからまた戻ってきた。

_DSC9295冬季は地下室が浸水するため、水面に佇むような形になっている。夏季は水がなくなり、彫刻のすぐそばまで行けるようだ。でも、近づいたら、この満ち満ちた寂しい緊張感が壊れるような気もする。ちなみに、遠目からは分からないが、胸の前にかかえた手には水が張られていて、本来は、窓の外から射した太陽光が、手の中の水面に反射して、彫刻の顔をゆるやかに照らすという仕掛けになっているらしい。今は工事か何かで、窓の外が塞がれてしまっているとの事だった。

_DSC9253

聖堂併設のカフェで泥のようなスープを飲む。泥っぽい香りがしたがおいしいような気がした。

_DSC9260 _DSC9271

その後、川沿いの遊歩道を歩いたり、山に登って街を見下ろしたりした。

_DSC9281

_DSC9288コンパクトな街だったのと、年末で美術館等が軒並み閉まっていたこともあって、日が暮れる前にやることがなくなり、早々に帰路についた。夕食をこの街で食べていこうかと思っていたが、あまりお腹が空かなかった。

Where is my mind

昼、何故か自分以外に客が誰もいないパブでピザを食べる。ここのピザは安くておいしいので好きなのだが、なぜ今日はこんなに客がいないのか、分からない。ピザを食べ終わって店を出るまで、誰も客が来ずずっと一人だった。こちらの店員の方々は、客のことなどあまりおかまいなしに雑談等しているので、このような孤独な状況になっても特に気まずさもないので良い。Death by cheese(チーズによる死)という名前のピザを食べた。

その後、Tate Britain(という美術館)に行く。ターナーやウィリアム・ブレイクの絵、ヘンリー・ムーアの彫刻など見た。3週間程前に、tateのメンバーシップ会員になったので、企画展もフリーで見られた。

_DSC9205 _DSC9200

その後スーパーに寄って帰宅。イギリスの街の写真を載せろというリクエストがあったので、何枚か載せます。こういう感じのテラスハウスの一角に自分の家もあります。

_DSC9184 _DSC9185 _DSC9187 _DSC9192 _DSC9193 _DSC9195

夜はサーモン等、焼いて食べ、kindleで漫画の新刊を何冊か読む。

精神 06

やっと熱が入り、完成までの道筋も見えて作業に入れた。29日未明に作業が終了する。やはり家からは一歩も出なかったが、ここ一週間以上、ひたすら罪悪感を生みつづけていた作業に一応のメドがついたので良かった。そもそも作業を残したまま休みに突入するべきではなかった。ここ数日を、金縛りにあったように無駄に費やしてしまった。

精神 03

クリスマスは街中の全ての店が閉まり、街が無人化すると聞いていたので、その様子を見に出かける。電車など公共交通機関も全てストップするので、ロンドンの無人レンタル自転車システムを利用し、市街地に赴いた。

実際は街中には人がわんさかいて、カフェ等を中心にいくつかの店もやっていた。よくよく考えてみればロンドン程の観光都市で無人化するなどあり得ないことだったが、幻想を抱き過ぎてしまった。

_DSC9173 _DSC9175 _DSC9179

せっかく自転車でフラフラきたので、一度も間近で見てなかったビックベンなどを見つつ帰宅する。

_DSC9180 _DSC9181

バタシー火力発電所

_DSC9182 帰宅後、また作業は思うように進まずに一日終了する。完全にまずい沼に入った感がある。

精神 02

昨日とまったく同じ状態に陥り、無意味に一日を終えそうになったが、せっかくクリスマスイブにイギリスに居るのでクリスマスマーケットでも見ておかなければという義務感に駆られて家を出た。

ウォータールー駅付近のマーケットは殆ど店じまいしかけていたが、かろうじてまだ賑わいの残っている箇所も少しだけあった。

_DSC9139 _DSC9140 _DSC9141 _DSC9167 _DSC9168

家を出るのが遅すぎ、多くの店は既に解体を始めていた。いつだったかクリスマスの深夜に銀座を歩いていたことがあったが、そのときは銀座の全ての店のショーウインドウが、一夜にしてクリスマスデコレーションから正月用のデコレーションに変わるため、施工業者がわんさか居てガツガツと作業していて、何となく面白いと思ったことを思い出した。こちらでは新年は大したイベントでないため、クリスマスが終われば街は静かになるという。

_DSC9166 _DSC9165 _DSC9143 _DSC9156 _DSC9155特に何も感慨は無かったが、一応、見たということでOKとしたい。作業の方は全く進まずまた今日を終えた。

精神 01

休み期間中にやらなければならない作業がいくつかあったが、何となく気乗りがせず、かといって終わらせていないのに外に出るのもどうかと思って、結局何も手に着かず、意味なく寝続けたりして一日が完全に無意味のまま終了した。

Goodiepal

ロンドンにはレンタル自転車ステーションがあちこちにあり、ちょっとした移動に重宝しているのだが、最近、そのステーションの設置場所が拡大され、家の近くにもレンタル自転車ステーションが出来た。何となく、その自転車を使用し、市内に出かけてみた…。

Salone squareへ。クリスマスの買い物か、多くの人でにぎわっていた。路上でサンタの衣装を来たバンドがピンク・フロイドの曲をやっていた。

_DSC9097

SAACHI galleryへ行く。ここの展示はだいたいいつもはずれが無い。今回はBODY LANGUAGEという企画展で、身体をモチーフにした作品を集めたものだった。絵画中心だったが、どれも非常によかった。

Henry Taylor 塗り方がホッパーのようにざくざくとしていて好きだった。

_DSC9098

Makiko Kudo

_DSC9102 _DSC9103

Kasper Kovitz イベリコ豚で彫刻が作られている。

_DSC9106

さらにチャリで移動し、Hyde parkのSerpentine sackler galleryに行った。何をやっているか全く知らずに行ったが、Jake and Dinos Chapmanという人の展示で、入るなりいきなり、ナチスと骸骨とマックのドナルドが凄惨な殺し合いをしている様子を表した巨大なジオラマ模型がいくつも置いてあった。10000体をゆうに超えるであろう数の惨殺された人形で巨大な箱の中が埋め尽くされていた…。基本的に、何か怪しいカルト宗教のような世界観が展開されている展示で、グロテスクなものが多く、生理的な気持ち悪さを直球で狙ってくるようなものばかりで、少しきつかった。ただ表現の強度はあった。

_DSC9110 _DSC9113 _DSC9115 _DSC9116

その後ハイドパークを散策。

_DSC9118

クリスマス期間のみ、ハイドパークにはWInter wonderlandという巨大な移動式遊園地が来ており、そこが多くの家族連れなどでにぎわっていた。入るのに相当、並ぶようだったので中には入らなかったが、かなり大掛かりなアトラクションががんがん建てられており、よくこんなものを仮設で建てられるなと思った。どういう設計になっているのだろうか…。基本的に絶叫マシンが多いのか、塀の向こうからは悲鳴が聞こえてくるばかりで、きらびやかなネオンの光など、視覚情報をのぞいて、音声だけ聞いたとしたら何やら不穏な感じがしたのではと思う。

_DSC9123 _DSC9124 _DSC9131

いったん家に帰り、改めて夜はCafe OTOに行って、Goodiepalという、電子音楽の作曲家のライブを見た。これが完全に意味不明の演奏で、演奏しているより何か喋っている時間の方が長く、また、やっと始まったと思った演奏も、ドライアイスから発生する二酸化炭素をズルズル鼻で吸いまくりながらリコーダーを吹く等、謎だった。氏の独自の作曲理論をまとめた本を読みながら、それを実演するような形だったっぽいが、ほとんど音楽として成立しておらず、長時間きくのは辛かった。最後は、この曲は良くないから、もう止めようと言って、途中で演奏を止めてそのままライブは終了した…。自分はずっと、このライブ早く終わらないかなと思っていたので、ちょうどよかった。

_DSC9136 _DSC9138

1 / 41234