Frei Otto

土曜ー月曜にかけてMunichに居た。

少しだけ自由になる時間があったので、いくつかの建物を見た。前日に偶然、現地に住む建築家の人と少し話をする機会があり、とりあえずフライ・オットーのミュンヘンオリンピックスタジアム群は見ておいたほうが良いとのことだったので、それを見に行った。

オリンピック公園のすぐ横にはBMWのヘッドクォーターがあり、コープ・ヒンメルブラウによる激しい造形のショールームがある。基本的にデコンストラクションの建築物は好きなので、現地に行く前までは、フライ・オットーよりこちらのほうが興味があったのだが、実際に見てみると、確かに造形は異常なものがあるのだが、あまり空間体験として面白みを感じなかった。しかし建物の端っこにある、時空が突然ゆがんだように捻れている部分は、意味ないのだが、設計者のやってやった感が前面に出ており、素晴らしいとも思う。

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このタワーはKarl Schwarzerという人の設計らしいが、このトウモロコシ的な佇まいはとても良いと感じた。BMWのロゴがよく似合っており、世界を征服したかのような誇大妄想的な表情が味わい深い気がする。

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そしてフライ・オットーのスタジアムは、想像していたよりずっと良かった。美しい緊張感でうねるテント屋根がとてもダイナミックに高低差のある大空間を生み出していた。特に、不定形に歪む屋根面や、温室のように透明なガラスで構築された壁面全てに、緻密に細い線材が張り巡らされていて、全てのものが脆くて薄いのに、それらが凍ったように完璧なテンションで静止している感じが素晴らしかった。基本的に、建物というのは静止しているものなのだが、これほど、全てのものが「止まっている」感じがするものはあまりない気がする。一本、骨を折れば全てがはじけそうなきれいな軽さがある。コンクリートで作られたグニャグニャした建物では、この凍結したような印象を出すことは難しいだろうと思う…。

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部分的に、ミュンヘンオリンピックのグラフィック・システムで使われた色彩計画の名残が残っていた。

45分ぐらいしか見る時間がなかったのが残念だったが、行っておいて良かった。

Frei Otto」への2件のフィードバック

  1. 1048

    オットーのスタジアム、すごいよさそう。
    ガラスのどうしのジョイントとかどうなってんのかね。
    アーキテクトというよりか、フラーのような科学者っぽいところがあって、
    さわやかさを感じます。

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  2. toyoda 投稿作成者

    確かに科学者だね。内実はゴリゴリの表現者だろうに表層はあくまで冷静な科学・工学を装っているような感じがまた良いなと思います。

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