月別アーカイブ: 2015年6月

Scotland 03

3日目は、マッキントッシュがインテリアを設計したWillow Tea Roomを見た。ここも全体的に規律を感じる縦長のストライプと、格子と、薄い紫色のアクセントの配色が明快で、面白かった。

_DSC9521 _DSC9525 _DSC9528 _DSC9534 _DSC9541 _DSC9543 _DSC9546この日は自分は夕方から別な用事があったため、午前中にここ一軒を見たのみで、S氏と別れて先にロンドンに帰った。

夕方からの用事というのはMOGWAIプロデュースによる連続ライブのひとつ、TORTOISEおよびGZAのライブを観に行くというもので、連日動いていて、疲れていて気力が失われつつあったのだが、せっかくなので行った。

TORTOISEは初めて見たのだが、なんというか音が変で、主旋律を出している楽器が殆ど聞こえなかったり、ギターがズレて?聞こえたりして、本当はこんな感じじゃないのだろうなと、思った…。正直、自分は音楽的な演奏技術がどうこうという事はあまり判別ができないのだが、Tortoiseのようなバンドはリズムがカッチリしていて、そのピタッと符丁があっている感じが魅力的でもあるので、特に音の変なバランスが気になってしまった。ドラムセット二台によるドコドコとした強いリズムは気持ちがよかったのだが…。また今度は別な場所で見てみたい。

GZAもその流れで、音が変で何かあまりよく聞こえず、もしかして自分の耳が変で、終わっているのだろうかと疑い始めていた頃、隣で見ていた男が、音がひどくて何言ってるか分からない!、と叫び始め、そのまま音響の人のところに詰め寄って、どうにかしろと喚いていたので、そう感じていたのは自分だけではなかったのだと分かった。

何か、あまり楽しめる感じでもなかったので、せっかくなのだが途中で帰路に着いた…。

Scotland 02

理由は知らないが、この時期のグラスゴーは何故か宿が異常な値段になっていたので、昨夜はAirbnb(という一般人の家の空き部屋を安く旅行者に貸し出すサービス)を使って、グラスゴー市内から15分ほど離れた、とある人の家の空き部屋を予約していた。その人とは昨夜、駅で落ち合って鍵を受け取り、簡単に家の説明を受けて別れた。我々は2泊させてもらったのだが、結局、その人はその間、もろもろ用事もあったようで家に帰ってきておらず、我々の貸切のような形になった。

この日は郊外のHelensburgという海辺の町まで電車で行き、マッキントッシュの最高傑作と言われているヒルハウスを見にいった。_DSC9446 _DSC9454 _DSC9458 _DSC9469 _DSC9467

ここも内部は撮影禁止だったので、写真がない。

外観は正直、特別なところは何もない建物なので、内部写真がないと魅力が全く伝わらないのだが、内部は家具から壁紙から、全体の空間装飾がすべてマッキントッシュの手によるもので、丁寧に律されたプロポーションと色彩がかなりよい感じだった。

実際、マッキントッシュの造形は、有名なハイバックチェアに代表されるように、ちょっと異様に縦長で、全体的に重心が上に寄っていて、ある意味バランスが変なのだが、それが逆に非常に特徴的になっている。格子とストライプが主な造形要素なので、シンプルなのだが、プロポーションの取り方にマッキントッシュの独自性があって、プロポーションでキャラクターを際立たせるというのは、単純なだけに相当に難しいと思われるので、やはり歴史的な巨匠とされる凄みは十分にあった。

その後グラスゴー市内に移動し、予約してあったグラスゴー芸術大学の建物案内ツアーに参加した。ここの校舎もマッキントッシュの代表作だったのだが、昨年火事で半分が消失し、いまも修復中なので中に入ることはできなかった。

このツアーでは、マッキントッシュとは関係ないのだが、スティーブン・ホールの設計のReid buildingという校舎も見学することが出来、これが爽やかな建物で非常に良かった。

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特に建物を貫いている何本かのバズーカのような上下方向への抜けが気持ち良かった。

その後もいくつか市内のマッキントッシュの建物を見て、宿に戻った。まだ外がだいぶ明るかったので、小一時間ほど散歩をした。

初日、この宿のある町に着いた時は、いきなり完全に薬などでキマっている感じのフラフラした若い男が、まっすぐ歩けずにフェンスなどにぶつかりながら徘徊している様を目にし、やばい町だと思ってしまっていたが、散歩をしてみると、以外とそうでもなさそうな感じだったことが分かった。とはいえグラスゴーは全体的に危ない感じがしたことも事実ではあった。

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Scotland 01

S氏が日本よりやってきており、スコットランドへいくつかの建物を見に行った。今日はエジンバラにて、Enric Miralles設計のスコットランド議事堂を見た。エジンバラは昨年5月に両親と共に来て以来、2回目の訪問になるが、前回はこの建物のことは知らなかった。

事前に見学ツアーを申し込んでおり、係りの人が1時間ほど、内部を案内してくれた。写真撮影は一部を除いて禁止だったので、あまり写真がないのだが、激しくカーブを描くコンクリートと、直線的で太い木材がゴツゴツと絡むかなり強い造形で、非常に良かった。見たことのないような異常な形状が随所に見られたのだが、それを、係りの人が逐一、全体の平面プランのコンセプトは木と枝と葉っぱのような形をしており、スコットランドの豊かな自然を象徴しているとか、内部空間に見られた激しく波打つ形は、船や海のモチーフで栄華を支えた海洋産業を表現しているとか、スコットランド国旗を模した十字形のエレメントだとか、建物に使われている4つの代表的な素材はそれぞれスコットランド北部、南部、西部、東部を代表する素材が使われているとか、議会の透明性を表現するガラス張りの会議室だとか、すべての形状がスコットランドの歴史や文化をソースにしたものであることを嬉しそうに説明していた。

それらの説明だけ聞いたのであれば、面白みのない説法のような建物を想像したかもしれないが、造形力が明らかに突出しており、それらのソースは言われなければ全くそれとは分からないくらいに芸術的に建物に取り込まれていた。何というか、説明を聞いていると、議会の要望や、市民の声、有力者のたわごとなど、全て呑んで強引に造形化して建物に取り込んでいったのではと思われるくらいシンボル図形の数が多く、またそれぞれが反復されて使われているので、建物の表情は一貫せずかなり複雑な感じになっているのだが、それでもそれらの強烈な摩擦を一箇所にグワッとまとめているので、非常に強烈な感じがしてよい。なんとなく曖昧な状態をキープしつつ、ひとつの場所として形に仕上がっていてすごい。

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議事堂のすぐ裏手にあった山に登り、エジンバラの町などを見渡し、少々市内を散策したのち、鉄道に乗ってグラスゴーに移動した。

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カレー屋 MOGMOG

CamdenのRoundhouseにMOGWAIを観に行った。この1週間はモグワイ活動20周年を記念した連続的なイベントがあり、オール・トゥモーズ・パーティーの主催でモグワイと関連のある様々なバンドが演奏を行う。

今回のモグワイも良かったのだが、毎回のように音が異常にでかいので耳鳴りが止まらなくなった。今回、個人的にモグワイの曲中でも特に好んで聴いている「2 rights make 1 wrong」が演奏されたので満足だった。最後にアンコールとして行われたMy Father, My Kingも安定して良かった。

終わり 02

1日が終わり、明日からまた月曜に戻る。始まるというより戻るという感じがする。まだ外は少しだけ寒く、半袖一枚だとやや心もとない。他にやるべきことがあったのだが、放っておき、昨日に引き続きプログラムを書いていた。partOfTheScreen-1434892066partOfTheScreen-1434913142

ここまで、塗りを解釈し直すというか面的なアプローチで画面を再構成していたが、影、輪郭線を簡易的に検出することができたので、それを使って線的な要素を加えた。同時に、塗り残しなどを意図的に発生させるやりかたを試していた。

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まだ少し単調な気がする。与えている入力ソースが実写なので、あたりまえなのだが、正確すぎて、やや息苦しい。表情も、物も、もう少し歪むといい。そちらのほうがきれいに見えるだろう。

終わり 01

朝、少し走りに出かけ、あとは家で作業など、していた。外は良い天気のようだった。年々、多くのことが面倒だと思う気持ちから逃れるのが難しくなっているのを感じる。反面、自動化という行為への憧れが、静かに積もり続けている。昨今の食洗機や、掃除ロボットの発展を嬉しく思うし、将棋ソフトがプロに近づいたと聞いても気分が高揚したし、著作権を気にしなくて良いように、有名作曲家風のピアノ曲を自動で作曲するシステムがすでに運用されていると聞いても、同様に嬉しくなる。絵画においては、すでに1970年代からHarold Cohenなどが自動絵描きロボットArlonを作っていたと知った時も、いいなあと思った。何かが自動的に達成されるということがなぜか気持ちの良いものに感じる。

そのようなもやもやした憧れを、少しでも消化するため、画像をイラストレーションらしきものに変換するプログラムを作成していた。まだ単調で、もっと複雑さがないときれいなものに見えない。これまで使ったことのない言語で書いているので、よくわからないことが多く、時間がかかる…。

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初期の一例

初期の一例

複雑さが少し増した例

複雑さが少し増した例

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便利屋03

_DSC9314業務などを行う。

年間を通して、少なからぬ人数の人間が狂っていく。少しずつゆるやかにおかしくなっていった人もあれば、ある時突然のように狂った人もあった。自分が気がついた時にはすでにもう切れきっていた人もあった。平均的にそのようなものなのか、偶然、自分のまわりに狂いやすい人がいた時期だったのかは、知らない。狂っても仕方がないと思える理由が見えた人もあれば、未然に防げたと思われる事象で行った人もあった。明らかに第三者の目に分かる形で狂った人もあれば、人知れずひっそりと消え、ひとりで狂ったと伝え聞いた人もあった。あの人はそろそろまずいと、言われている人もあった。昔は狂っていて、今は狂っていないという人もあった。そのような現象から距離を取るのは難しく、遠くからでも、よく見えてしまう。

サバ缶と葉っぱ系の野菜を和えたものが非常に簡便でよく食べてしまう。大きなTESCOだといろいろな味のサバ缶が売られている。

便利屋 02

日曜。作業などしていた。BBC(のオンライン)でJapan: Earth’s Enchanted Islandsという番組を見た。直で訳すと、日本:地球の魔法にかけられた島、となる。何回かのシリーズもののドキュメンタリーになるようで、この回は「Honshu」と題され、1億の人間が住む島でありながら、いまだ豊かな自然が残り、野生動物が多数暮らすこの地で自然と人がどのように共存しているか、というテーマで紹介がされていた。ダイナミックなアングルや、深いボケ味、スローモーションを多用した映像がやたらと美しかった。BBCのドキュメンタリーは映像それ自体に味があることが多く、よい。

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冒頭から温泉に浸かるサルの慈愛に満ちたような顔が写される。

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佐渡の棚田など。

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木の上で産卵するカエルの生態など。棚田それ自体よりこのカエルに割かれていた尺が多かった。

BBC_Japan_0003_Screen Shot 2015-06-14 at 22.57.51.png BBC_Japan_0005_Screen Shot 2015-06-14 at 22.58.57.png

山から降りてきて作物を強奪するサルと、人との戦い。サルを追い払うために訓練された柴犬が登場する。

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人里に降りてきたクマを捕獲し、山に戻す活動をしている人々。

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奈良の寺に集うシカのようす。鹿せんべいを観光客からもらうために、多くのシカがお辞儀をマスターしているらしいが、知らなかった。

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川端(かばた)という野菜や食器などを洗う用水地。鯉が放たれており、その鯉が食べかすなどを食べて、水を浄化していくという。これも、知らなかった。

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ホタルと戯れる人々の様子。

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ホタルつながりで、ホタルイカの漁のシーンへと移行する。これもこんな風に光るというのは知らなかった。

BBC_Japan_0009_Screen Shot 2015-06-14 at 23.10.05.png花見など。桜はわずか数日で散ってしまうが、日本にはもののあわれという価値観があり、人々は今もそれを感じることができるとナレーションが入る。

日本関連の番組は結構、よくやっている気がするが、これは切り口がありそうでなかった感じで、よいものだった。言葉による説明は、最低限しか入らないが、映像それ自体にすでに慈しみのような視点がはっきりと入っていて、映像としての強度と表現力がある感じがした…。

便利屋

土曜。作業などして過ごす。

朝は少し外を走った。少し前からたまに走りに出かけていて、そんなに負荷はかけずに手短に3キロくらいを走って戻って来る。すでにある程度回数を重ねているので、走り終えた後の筋肉の疲れが初期の頃に比べて軽減しているのがわかる。このような単純な運動は、回数をこなした分だけ、ある程度わかる形で実感が得られるので精神的に心地よく感じると聞いたことがある。人との関係における信用など、どんなに積み重なっていても一瞬で崩れたりするランダム性がないのも良いのかもしれない。

業務上、関わりがあった人が、夏に社を去ることを聞いた。本人によると2年ほど自転車の旅に出るようだ。まずはヨーロッパを出発しアジア諸国を目指すという。以前よりすでに心は業務にはないようで、徹底的に最低限のことしかしなかったが、府に落ちた。ある意味では偽りがなく、接しやすい。

Wildlife

土、日と、Brightonで行われたWildlifeという音楽イベントに行っていた。両日とも天候が良く、気持ちのよい日だった。ただ見た目の明るさに反してイギリスは未だ寒く、寒さに耐えかねて途中で、露店で売っていたよくわからない古着の羽織るものを購入した。それによって快適に過ごせた。Disclosureというバンドがヘッドライナーで、かなり人気があるらしいのだが、自分はあまりよく知らず、どんなものかと見始めたところ、ステージの映像の演出がミニマルで非常に美しく、非常に良かった。単純な色彩と、単純な幾何学的図形が少しづつ変化しながら、ひたすら無数に反復していた。何も考えなくなり、惚けるように反復をずっと見ていて、一時間半くらいの時間が気がつくと過ぎていた。

あとNas, Wu-tang clanなども見た。

追記。Nasは活動20周年とのことで、デビューアルバムillumaticの曲を全曲やるという構成になっており、何回もアルバムジャケットを背景に映しまくりながらのパフォーマンスだった。何というか音が悪く、トラックの鋭く刺してくるような強い音があまりうまく聞こえず、期待していたほどではなかった…。何度もジャケットを映してニューヨークとか言っているので、徐々に音楽よりそちらのほうが面白くなっていった。

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Wu-tang clanはもう相当な年になるのだと思うが、チンピラが大勢でワイワイやっている感じが非常によく出ていた。

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これら2組は、見ておかなければならないと思って、勉強のように見ていたが、あまりよく分からなかった…。凄くないはずはないと思い、家に帰ってアルバム音源を聴いたが、そちらのほうが遥かに良かった。こんな音に聞こえなかった。

ほとんどどの野外イベントでもそうなのだが、ゴミをゴミ箱に捨てるという概念は皆無に等しく、時間が経つごとに会場全体が巨大なゴミ箱のようになっていき、最終的には地面のほとんどがゴミだらけになる。そこをかき分けて人々は腰を下ろす。

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