月別アーカイブ: 2014年8月

Digital revolution

Barbican centreにDigital revolutionという展示を観に行く。ビデオゲーム、音楽、映画、メディアアートなど、古今東西のデジタルアートを集めた企画展。

_DSC5104

ビデオゲーム黎明期の傑作と名高いアタリ社の「PONG」の筐体が展示されていて遊べるようになっていた。かつて小学生の頃、NHKでやっていた「新・電子立国」(というコンピュータソフトの歴史を網羅的にあつかった非常にすばらしかった番組。)で紹介されているのを見て、自分でもBASIC(というプログラミング言語)で似たようなプログラムを組んで遊んだことが思い出されて非常に懐かしかった。

from old-computers.com

_DSC5109

あの頃、何故か自分はゲーム作りに入れ込んでいて、別に面白くもない意味の無いゲームを日々、作っていた。正確には覚えていないが作ったゲームの総数は20は超えると思う。かつては個人が作ったフリーゲームが大量に集っている投稿サイトのようなものもさかんで、中学生になった自分はいくつかのゲームをそのようなサイトにアップロードしたこともあった。完全に終わっているクソゲーだったにも関わらずダウンロード総数は1万を超えていたので、時代だったと、思う。そのころは作ったゲームを送りつけて遊んでもらう友人達も、いた。彼らのほとんどとは今や疎遠になり連絡先も知らない。作ったゲームの数々が入ったフロッピーディスク等も、すでに失われているだろう。

_DSC5122 _DSC5124 _DSC5133

Ashdown forest, Lewes

Hartfieldという村に行った。くまのプーさんの作者のA.A.Milneの別荘があった場所で、その村のすぐ南に広がるAshdown forestという森を舞台にプーさんの世界は描かれているらしかった。村の中にあったPooh cornerという各種プーのグッズを扱う店に併設されたカフェで食事、茶などを摂り、のんびりとした感じの良い時間を過ごしたのち、その森にも行き、小高い丘の上から森を眺めた。歩いていて、非常に気持ちのよい場所だったが、プーさんを読んでいないので、自分にはこの森が他の森とどう違うのかは、分からない。読んだ人のみ、本来ここに存在しないはずのものが見え、あの熊がここに居るように感じるのだろうが、今から自分がそれを読んでも、もう熊をここに感じるレベルの感情移入は難しいだろうとも思う。子供のころにそれに魅了される必要があるが、時間が戻ることはない。

_DSC5074- _DSC5075-

その後、更に南下し、Lewesという街にも行った。かつて一度だけ訪れたことのあるところだが、その時は夕方に来たので、ほとんど全ての店が閉まっており、また冬だったために辺りも暗く、ただ、行ったというだけで、その街を楽しむところまではいっていなかった。今回はルイス城などにも入ることができた。

_DSC5082-

城の塔から街を見下ろすと、町並み全体が想像以上に赤かった。

_DSC5080-_DSC5093- _DSC5094- _DSC5098- _DSC5103-また城の庭のようなところでは、仮設テントを用いて何らかのパーティーが開かれていた。何故かゲートボールのような用具が設置されており、ボールや、ポールのカラフルさが美しい感じがした。Wikipediaによると、これはクロッケーという球技で、日本のゲートボールの原型になったものらしい。確か、日本のゲートボールのボールは単調な紅白の2種類であり、ポールは、味気ない単なる巨大な鉄釘に等しい無骨な灰色の鉄棒だったと記憶しているが、日英を比較して、何か大切なものが失われている気がした。遊技ではなく競技としてのゲートボールを志向した結果が、あのストイックな紅白ボールと鉄釘ということなのかもしれないが、用具の魅力が全く無い。日本中に多く分布しているゲートボール愛好家は殆どが老人であるはずだが、ナンバリングされたゼッケンを身につけた老人が集まって毎日、紅白の球を工業的な鉄釘にコツコツ当てているというのは、視覚的に退廃的すぎて、かなしい。

ルイスをひととおり散策して楽しんだ後、帰宅した。帰宅後はNew Maldenの韓国料理屋に行った。入ってみたらほとんどカラオケ店で、その一角がレストランになっているという風の謎の店だった。味は問題は無く、おいしかった。

冷たい

朝からずっと雨が降っており、止むこと無く夜まで降り続けた。
今日は祝日だったので、二ヶ月近く放置していたこの日記を一気に更新し、現実に追いつかせた。それ以外のことは、特にしていない。夜は出前をとった。

MALEVICH

_DSC5037

Tate ModernのMalevich展を観に行った。非常に充実した内容で、マレーヴィチが代表作「黒の正方形」をふくむシュプレマティスム作品群を最初に発表したとされる「最後の未来派展0-10」の展示方法が再現されていた。

Last futurism exhibition 0.10 from Wikipedia

_DSC5039

「黒の正方形」が、二枚の壁をまたぐように設置されているところが重要で、同年代のタトリンも、カウンターレリーフと称して、絵画の平面性の否定という名目で、部屋のコーナー部分に絵画や彫刻を設置することをやっていた。遠近法を完全否定して、幾何学図形のみの凄まじく平面的な絵画をやっておきながら、だからそこに無限の空間の広がりがあるとか言い出したこの人たちはやはり偉人だと思う。また、この、部屋のコーナー上部という位置は、ロシアの農村部に広がったロシア正教において通常、聖母マリアの絵が掲げられる位置らしく、新しい芸術のアイコンとして、この無味乾燥な黒の正方形を位置づけていたこともわかる。

テートモダンを後にして、しばらく川沿いを歩いていると、なぜか未来派の絵画のような模様をほどこされた船が停泊していた。暴力的だった。これが何なのかは、知らない。

_DSC5041 _DSC5043

日本で1年以上前に出た、村上春樹の新刊がイギリスでは今月発売になったようで、書店の店頭で見かけた。今日は幾何学的な図形ばかりが目についた。

_DSC5045

夜は、よくわからない日本食どんぶり屋に行こうと試みたが、行ってみたら閉まっており、その近くのイタリア料理屋に入ってパスタなど食べた。

功罪

GodSaveTheGirlHackneyの映画館で、「God save the girl」という映画を見た。Belle&SebastianのStuart Murdockの監督によるミュージカル映画。ストーリー的には極めてよくある自己陶酔型のメンヘラ女子の相当どうでもいい色恋沙汰の話だったが、やはりBelle&Sebastianの音楽が際立って良いので、どんな自己中心的な葛藤も全てポップソングになって、全てがキラキラした美しいものかのように見えていた。

このような青春の痛みや自己愛については、スイーツ的な雑誌では多く「甘酸っぱい」という表現で何の罪もないかのように巧妙に変換されるが、実際それは割と的を得ている表現で、それはまさにベルセバの世界観とその凄みであって、この映画だったように思えた。

他人

オフィスで使っているパソコンが新しくなった。三ヶ月以上前にオーダーしたもので、オフィスにもひと月以上前に到着していたのだが、セッティング担当の人が全く手を付けてくれず、ソフトなどがインストールされないまま長期間放置され続けていた。さすがに永遠にほっとかれると思い、足繁く係の人のところに通ってやっとセットしてもらえた。新品のパソコンの上には、埃が積もっていた。

End

明け方や夜はもうかなり寒い。夏の服装はもうそろそろ終わりにしなければならないだろう。何でもそうだが、終わってみればすべて短かったと感じるのは普通のことなので何の心配もいらない。

Cornwall 02

Eden Projectというフラードーム的な球状の温室の集合体で形成された植物園に行く。設計はニコラス・グリムショウ。球が六角形で分割されているから、三角形の分割のフラードームとは違うのかもしれないが、よく知らない。前情報では、球の中に高低差があって、気圧差、気温差を生み出して、それに応じた植栽を植えている、と聞いていたが、特にそのようなことはなく、意外と普通の温室だった。

_DSC4904 _DSC4883

エデンプロジェクトは割と早々に引き上げ、St.Michael Mountへ行った。到着したときはまだ満潮時で、島への道は完全に海の中だったので、いったん連絡船を使い島に上陸した。

_DSC4922 _DSC4921

城の城壁にて、大砲にまたがる人。

_DSC4930 _DSC4936

城からの眺めはさすがに非常によく、天気も問題なく晴れていたのでかなり気持ちのよいものだった。城自体も、小山の上に建っているからなのか高低差のある内部空間で、入り組んでおり興味深いものだった。

_DSC4941 _DSC4990_DSC4945_DSC4974

城から出る頃には潮が引いて、道ができていた。景色が劇的に一変するので、驚いた。_DSC4980_DSC5008カモメと、後ろを往く人間の集団。

夕方発の電車でロンドンまで6時間近くかけて帰った。コーンウォールは短い小旅行だったが、イギリスでも有数の人気観光エリアというのがよく分かる本当に風光明媚なところだった。今この日記は、後日になって駆け抜けるように一気に書いているので、多くは書かないが、特にSt.Michael mountは美しく、行けてよかった。自然と人工物のバランスがすぐれている。

Cornwall 01

昨日フィンランドから戻ったばかりだが、今週は更に、畳み掛けるようにコーンウォール地方への旅に出た。昨夜、夜行の寝台列車がロンドンを出発し、朝になったらイギリス最西端のあたりのペンザンス地方に着いているという算段で行った。

_DSC4742

イギリスのモンサンミッシェルと呼ばれる、満潮時には完全な孤島となる島に建つ城、St.Michael mountが見えた。

_DSC4747

Minack theatreという断崖絶壁に自力建設された劇場を訪れた。これもフランスのシュヴァルの理想宮のように、とある女性がたった一人で建設を始めたものらしい。

_DSC4796

晩年のその人。一輪車に座っているというのがとても良いと思う。_DSC4780 _DSC4789

場所を変えイギリス最西端の碑の建つLands Endへ行った。地名がそのままなのだが、そういう地名の場所。どこかのファミリーが有料の記念撮影をしている様子を更に撮影し、満足を得た。

_DSC4807

自分の知っている場所では北海道の万座毛に近い。_DSC4816

更に移動しSt.Ivesへ。知らなかったが、ここにもテート・ギャラリーがあり、この地は20世紀初頭に、抽象芸術の前衛達の集まる芸術村として栄えたらしく、モンドリアンなども頻繁にここを訪れていたらしかった。_DSC4827 _DSC4838 _DSC4856

既に気温は割と寒かったが、St.Ivesのビーチはまだ人でいっぱいだった。

いったん宿にチェックインし、夕食に少し離れたPadstowという町にあるStein’s Fish & Chipsという店に行った。同行のW氏が見つけてくれたもので、イギリスで一番おいしいフィッシュアンドチップスという評判らしい。シェフの人は相当な著名人らしいのだが、この地方の魚しか信用していないらしく、ロンドンなどの都会に店を出すことはしていないという。店にはかなりの行列ができており、30分以上待って、入ることができた。確かに非常においしく、明らかにフワフワ度が今まで食べてきたものとは違う気がした。

_DSC4866

Finland 03

フィンランド最終日となり、見れていなかった美術館など一気に見た。おとといの月曜日に、一度観に行こうとしていたのだが、月曜日はほとんどの施設が休館日ということを知らず、やむを得ず断念したところへの再訪だった。

キアズマ美術館。マリメッコとフィンランドの若手作家のコラボレーション的な展示をやっていた。_DSC4722 _DSC4728アテネウム美術館でもトーベヤンソン展をやっていた。こちらのほうが、先日見たムーミン谷美術館に比べ、氏の生涯に焦点を当てた、より網羅的なもので、ムーミン谷博物館の所蔵品の多くもこちらに来ていたようだった。しかしどの絵画よりも、やはりムーミン関連のペン画の出来が突出しているように思えた。個人的には、割と視点を引いたロングショットの絵の多くがよいと思った。微妙な距離感で、遠くで何か変なトロールが何か必死にやってるという、アリの観察箱を見るような上位概念からのやや冷たい視線がある気がした。そういう、人ならざるもの達の所業だからこそ、ムーミンの物語がユーモアと真理をもつのかもしれない。

1 / 212