月別アーカイブ: 2014年7月

ナサニエル・カーン

昼、同僚氏に週末に行ったルイス・カーン展のことなど話す。展示の内容と一切関係ないが、ルイス・カーンはプライベートではやや困った人であり、妻と愛人ともう一人の愛人の間にそれぞれ子供がおり、3つの家庭を同時並行で持って生きていたことなど伝えようかと思って、説明を試みた。簡略化し過ぎて、「カーンは3回結婚した」という間違った言い方になってしまったところ、間髪入れずに同僚イタリア人氏が、「イタリアではそれは国民的英雄になる。誉れ。」というようなことを言ったので、ある程度、きれいに落ちた気がして、それ以上の説明を足す事は無かった。もちろん彼も本心でそう言っているのではなく、イタリア人男性のパブリックイメージを皮肉っているのは、知っている。

Hyper Japan

「ホンモノの日本カルチャーイベント」を標榜するHyper Japanというイベントに行った。チラシにはFood, Technology, Fashion, Games, Film, Music, Anime, Manga, Cosplay, Art and moreとある。ホンモノの、とはもちろんこの場合、茶道や能などの、トラディショナルな和風を指すものではない。 _DSC4181 盛況の会場。妙な外国人達の巣窟と化す。 _DSC4179 初代ドンキーコングをプレイする人。 _DSC4180 13インチくらいの小さいブラウン管TV(テレビデオ)で、今は亡き任天堂ゲームキューブ4人対戦に興じる人々。おそらくこのエリアのコンセプトは「レトロゲームを楽しむ」なのだろうが、ゲーム機だけでなく、あえてテレビまで当時の雰囲気に戻すあたりがこだわりを感じる。 _DSC4183 KAWAIIカルチャーを紹介していた、もしもしにっぽんブース。この文字の描き方はすごく面白い感じがする。 _DSC4188 数多くの日本酒を扱っていたSAKE EXPERIENCEのブース。 _DSC4191 たこやき等。たこ焼き型で忠実にたこやきを焼いている店はひとつも無く、皆、既に球状に成形された冷凍たこ焼きを揚げて作っているようだった。同行のW氏の購入していたタイヤキはタイヤキ型で作っていたようだ。 _DSC4192 ヤンキー髪型の子供。こういうところまで日本を再現してきているとは思わず、客のレベルが高い事がわかる。 _DSC4195 任天堂の販売するルイージの帽子。なぜかマリオよりルイージを推していた。 _DSC4197 _DSC4198 武器屋で刀を見定める人々。 _DSC4201 コスプレイヤーの人々。ヨーロピアンがやると、顔立ちのせいで、より、それっぽくなるような気がする。参照元をあまり知らないので、本当にそれっぽいのかどうか知らないが…。 _DSC4204 カラオケバトルのようなものもあり、この女子はきゃりーぱみゅぱみゅの曲を熱唱していた。日本でもメジャーなカラオケ機器のDAMが機械を提供していたようだったが、採点が、87.695点、など、少数第三ケタまではじき出すシステムになっており、意味なく細か過ぎるような気がした。 _DSC4206 人気のあまり無い、トイレ付近の閑散としたエリアで空手の演舞を始めた人々。おそらくここは待機所で、ステージでの本番前の練習ではと思われた。 _DSC4215 着物を着ている人。ひとりで着物を着るためにはある程度の修練が必要と聞く。 _DSC4217 _DSC4222   会場で配っていたTimeOut誌の東京特集。まだパラパラと眺めただけだが面白そうな内容だった。_DSC4220帰宅後、夕食と涼をとるためにHoxtonにあるQueen of Hoxtonというパブの屋上テラスのようなところに行った。夕時で、良い感じの風が吹いていて気持ちがよかった。

Louis Kahn

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Design museumにルイス・カーン展を観に行った。イェール大学アートギャラリーやキンベル美術館の、スケールの割と小さな模型が置かれていて、工場のように簡潔なきれいな形をしているように見えた。行ったことが無いので、実際は分からないが、構造を変に意匠で隠したりせず、工業的な佇まいがあって乾いた感じなのに、内部空間の光が異様に芸術的で美しいというのは、押し付けがましさがなくて冷たくてよい。バングラディシュ国会議事堂の写真や模型もあって、建築物のどの部材よりも先に、重い影が、真っ先に強く目につく感じがやはりきれいだった。光は、それが建築物にぶつかるまで、自分がどんなに美しいかを知らない、と壁に書いてあった。

from designboom website

他にも別フロアでDesign of the year 2014という展示をやっていたので見た。様々なジャンルで今年面白かった品々を一堂に集めていた。

Experimental jet setのホイットニー美術館のVI計画。ホイットニーのWをいろいろ変化させて造形をつくるようで、簡素でざくっと強くて面白い。

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PentagramによるサーペンタインギャラリーのVI計画。SERPENTINEの文字列のどこかにカラフルで多目的な四角形を入れこんでいる。

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自分が好きなドローイングマシン系の亜種。太いマジックで文字を描く。スイスのECALの学生の手によるものらしく、ECALといえばドローイングマシン系の祖ともいえるHECTORというマシンを作ったJörg Lehniが教員を務めていた学校のはずだ。

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Seaboardというピアノの進化版のような楽器も置いてあって、実際にさわれた。鍵盤が全て柔らかいチューブみたいなもので出来ていて、押し込む強さで音量と音程が変化する…。グニャグニャしていてさわって気持ちよい感じがした。

_DSC4173夜は非常に久しぶりにWimbledonに寿司を食べに行った…。

The Blackfriar

from The Blackfriar’s website

帰宅後、Blackfriar駅のすぐ前にある、The Blackfriarという、昔の修道院の建物を使っているというパブに行った。前情報どおり、内装がかなり不思議な状態になっており、すごかった。決して量を多く飲んだわけではないが、ビールによって少しばかり気持ち悪くなり、遠い目をしながら帰宅した。年齢を経た事により、気持ち悪くなりやすくなっているような気もする。

ケトル

オフィス内にはStaff kitchenと名付けられた流し場がいくつかあるが(調理器具がある訳ではなく、シンクがあるのみ)、席を引っ越した関係で、最寄りの流し場が変わった。今までの最寄りには電気ケトルがあったので、茶等を容易に淹れる事が出来たが、新しい場所には無く、不便を感じていたので、昨日、帰宅途中にあるArgosにて5ポンドという激安の電気ケトルを購入した。非常にしょぼくて、すぐ壊れそうな作りだったが、会社で湯をちょっと湧かす分には十分だろうと思う。電気ケトルが5ポンドで買えるというのは不思議だ。

sea

日本は海の日で祝日だったようだ。だからといって、特に何がどうという訳でもないが…

昨日、行ったモリス関連の施設の話を同僚にした。モリスが、美しい物が豊かな生活を作るという思想を実践したことなど説明していたら、物に頼らないと豊かになれないと考えるのは間違っていると思う、と言われた。

昨日、買った土産品のモリス柄のマグカップを会社用に持ってきたので、その彼の前で毎日それを使う事になるだろう。

William Morris gallery / Red house

昨日に引き続き、モリス関連の施設をまわる。ロンドン北東部にあるWilliam Morris galllery、および彼の仕事場だったロンドン南部にあるRed Houseに行った。どれも内部写真が無いので、ただ外観だけしか記録が無いが、どの施設も充実した展示で興味深かった。モリスギャラリーの方は豊富な資料で、知識としてモリスを知ることができ、レッドハウスの方は、当時のままの空間がそのまま残されているので、体感としてモリスを知ることができる。

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ケルムスコット・プレスでモリスの作った3つの書体の見本なども置いてあって、興味深かった。またモリスの妻ジェーンと、友人の画家ロセッティが、退屈なケルムスコットマナーで不倫関係になって心にダメージを負ったモリスがアイスランドにセンチメンタルジャーニーに出て、そこでまた今までに無かったデザインの啓示を受けるあたりの資料など、知らなかったものも多くあり楽しめた。

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Kelmscott Manor

W氏と話していてWilliam Morris系の施設を一気に行くという話になり、この土日をかけていくつかの施設を訪れた。

この日はオックスフォードよりもっと西に行った農村部にある、モリスの別荘ケルムスコット・マナーに行ってみた。モリスが家族と、家族ぐるみの友人の画家ロセッティと過ごしたところ。内部写真が取れなかったためにあまり写真が無いが、ところどころモリスデザインの壁紙や、家具があるものの、全体的には非常に簡素な、素朴きわまる家でとても良かった。

モリスのデザインは、テキスタイルや晩年の超装飾的なケルムスコット・プレスの書籍などから、わりとデコラティブで華やかなものというイメージがあったが、自身の住まいは想像よりずっと、モノがなかった。

たしかにモリスの考え方の根元にあるのは、ジョン・ラスキンなどの自然をとにかく崇拝するという考え方であると、学生の頃、習ったので、ものに縛られて時間に追われる暮らしでなく、ただ自然の中でゆっくりと暮らすことが美しいと心底思っていたのであろうことはよくわかった。モリスの好きだったというバイブリーという田舎町にも以前、行ったが、そこも似たような印象だった。

ただ、そのレベルにまで精神的に成熟するのは、普通の人には難しい。当時すでに世の中は大量生産と大量消費の近代化の最中だったので、その中ではこういう素朴な暮らしぶりは、凄まじく退屈に映っただろうし、受け入れられにくかっただろうと思う。退廃的とさえ思われたと思う。

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ただモリスはデザイン力が突出していたので、自然を写し取ったきれいな家具や壁紙を作って、まず人々の意識をなんとか変えようと思って、例のアーツ・アンド・クラフツ運動をはじめた。

結果的にその仕事は成功したが、モリスの家具は高額で、一部の金持ちしか買えなかった上に、ファッション的なトレンドと化し、皆、そのモノ自体を所有する欲にとらわれてしまい、ほぼ誰も、美しいカントリーサイドを愛する、というモリスが望んだ精神レベルに到達することはなかった。

モリスはモリスで、仕事が成功しすぎたあまり、死ぬ程、忙しくなって、自分の本当に好んだという生活スタイルからは遠ざかっていく。

それでもデザインと社会活動をやめずに最後まで、狂気をもって尋常でないクオリティの作品群を生み出し続けたことは凄まじい使命感だとは思う。

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このケルムスコット・マナーは、非常にいい感じの雰囲気で、何か癒される感じがあったが、なんとなく、モリス氏の疲労が全てここに堆積しているような気もした。

その後、周辺にあったいくつかのコッツウォルズの町を巡って、帰宅した。

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使い捨て

終バスを逃した同僚氏を、最寄りの駅まで送って帰宅。終バスといっても会社と会社の最寄り駅をつなぐシャトルバスで、素晴らしい事に7時前に終バスを迎える。バスで通勤している人たちは、それに合わせて必ず7時前には帰宅するようにしている。

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