カテゴリー別アーカイブ: 音楽

終わり

人に誘われTRUCKという音楽イベントに行った。オックスフォード付近の小規模なローカルフェスティバルという趣で、家族連れなども多く、非常にゆるゆるした雰囲気のイベントで良かった。気分をもっと殺伐とさせたいと思っているのだが、一方でこのようなイベントの弛緩したような雰囲気が心地よくもある。

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Scotland 03

3日目は、マッキントッシュがインテリアを設計したWillow Tea Roomを見た。ここも全体的に規律を感じる縦長のストライプと、格子と、薄い紫色のアクセントの配色が明快で、面白かった。

_DSC9521 _DSC9525 _DSC9528 _DSC9534 _DSC9541 _DSC9543 _DSC9546この日は自分は夕方から別な用事があったため、午前中にここ一軒を見たのみで、S氏と別れて先にロンドンに帰った。

夕方からの用事というのはMOGWAIプロデュースによる連続ライブのひとつ、TORTOISEおよびGZAのライブを観に行くというもので、連日動いていて、疲れていて気力が失われつつあったのだが、せっかくなので行った。

TORTOISEは初めて見たのだが、なんというか音が変で、主旋律を出している楽器が殆ど聞こえなかったり、ギターがズレて?聞こえたりして、本当はこんな感じじゃないのだろうなと、思った…。正直、自分は音楽的な演奏技術がどうこうという事はあまり判別ができないのだが、Tortoiseのようなバンドはリズムがカッチリしていて、そのピタッと符丁があっている感じが魅力的でもあるので、特に音の変なバランスが気になってしまった。ドラムセット二台によるドコドコとした強いリズムは気持ちがよかったのだが…。また今度は別な場所で見てみたい。

GZAもその流れで、音が変で何かあまりよく聞こえず、もしかして自分の耳が変で、終わっているのだろうかと疑い始めていた頃、隣で見ていた男が、音がひどくて何言ってるか分からない!、と叫び始め、そのまま音響の人のところに詰め寄って、どうにかしろと喚いていたので、そう感じていたのは自分だけではなかったのだと分かった。

何か、あまり楽しめる感じでもなかったので、せっかくなのだが途中で帰路に着いた…。

LUBOMYR MELNYK

夕方、LUBOMYR MELNYKというピアニストのライブを聴きに行った。高速のアルペジオをひたすら繰り返しまくる波のような特徴的な作風で、Continuous musicと名付けられているらしかった。そのアルペジオがあまりに早いのと、それにもかかわらずタッチが強いのとで、単音はもはや認識できずに全体として連続した音が壁のように迫ってくる感じがする。ひたすら演奏を早くしていくと、メロディがある地点で別な次元に移行する、というような説明がなされていた。確かに最初はっきりと聴こえていたメロディが、速度がある閾値を超えたところで、音というより巨大なノイズのような鳴りに変化し、またメロディに戻っていくというような感じだった。3曲しか演奏されない短いライブだったが、これは非常に良かった。

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dubnobasswithmyheadman

from underworld website

from underworld website

金曜。同僚氏からチケットを譲ってもらいunderworldのライブを観に行った。underworldは今年で活動20周年を迎えたらしく、初期のアルバム「dubnobasswithmyheadman」のリマスター版が出たのを記念して、そのアルバムの収録曲を演奏するという回顧的なライブツアーをやっている。

ライブはアルバム収録曲を、最初から最後まで収録順にやるという構成になっており、それに加えて、他のアルバムからの代表曲「rez」「born slippy」なども演奏された。中でも有名曲「cowgirl」などは非常に良いものだった。曲中で何度もつぶやかれる言葉について、いままでI’m beautiful, I’m beautiful, I’m beautiful…と言っているのかと思っていたが、I’m invisibleと言っていることを知った。牛のような女の人が、私は美しい、美しい、美しい、と狂気的に反芻しているのかと思っていた。

from www.gigslutz.co.uk

from www.gigslutz.co.uk

背景の映像も非常に良く、映像というか、ただ黒地に白の曲名が壁面いっぱいに表示されているだけだったのだが、それが何故かただ力強く、きれいだった。タイプフェイスもclarendonのような少しアナログな雰囲気のものだったにも関わらず、無機質な質感があった。

Norberto lobo

Cafe OTOにNorberto Loboの演奏を聴きにいった。ギターのみで多様なアンビエントノイズを生み出しながら、時折パラパラときれいな分散和音を重ねて、リズムがあったりなかったり、静かだったりノイジーだったり、行ったり来たりしている感じの音楽で非常に良かった。

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本人はとてもシャイな感じで、演奏後は何か恥ずかしそうにチョコチョコと何度も頭を下げて拍手に応えていた。もう十分、十分といった感じでそそくさとひっこんでいったが、アンコールに答えてもう一曲やってくれた。

dice

人に誘われ、AngelにあるIslington Metal worksというところで全盲の人々のためのチャリティーライブを観に行った。観客はアイマスクを付けて視覚を遮断した上で音楽を聞く。ゴスペル的なコーラス隊が観客の周りを360度囲むようにして歌を歌っており、そこにボイスパーカッションがゴツゴツと絡んでくる音楽だった。

功罪

GodSaveTheGirlHackneyの映画館で、「God save the girl」という映画を見た。Belle&SebastianのStuart Murdockの監督によるミュージカル映画。ストーリー的には極めてよくある自己陶酔型のメンヘラ女子の相当どうでもいい色恋沙汰の話だったが、やはりBelle&Sebastianの音楽が際立って良いので、どんな自己中心的な葛藤も全てポップソングになって、全てがキラキラした美しいものかのように見えていた。

このような青春の痛みや自己愛については、スイーツ的な雑誌では多く「甘酸っぱい」という表現で何の罪もないかのように巧妙に変換されるが、実際それは割と的を得ている表現で、それはまさにベルセバの世界観とその凄みであって、この映画だったように思えた。

Finland 01

フィンランドに旅行に出る。一日目はヘルシンキについてすぐFLOW festivalという音楽フェスに行った。ヘルシンキ中心部からそう離れていないところにある元火力発電所跡地で開催されていた。入場者数は約2万人とのことで、ヘルシンキの人口が60万人くらいなのでかなりの人数がここに集結していることになる。良い演奏が多く、かなり楽しめた。

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翌日からは市内散策およびアアルトの建物などを見た。写真を適当に貼る。

アカデミア書店

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アアルトスタジオ。現在でもアアルト財団のオフィスとして使用されており、アアルト建築の修復やリノベーションなどを手がけるために数人の建築家が仕事をしている。

曲線的なドアの取手。アアルトの建物の多くに登場する。

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照明の多くも、シリンダー形状の組み合わせのバリエーションでできている。

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色彩は基本的に白く、それに家具の木目と光がきれいに映える。

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さらにアアルトの自邸にも足を運んだ。曲げ木のディティールが随所にあるとはいえ、基本的には幾何学的な構成なのに、光の入り方がとにかく優しく柔らかく、落ち着く。圧倒されるみたいな強い空間表現があるわけではないし、何らかのコンセプチュアルな理論を感じるわけでもないが、とにかく空間の質がよいと感じる。体験しないと分からないという意味で料理や音楽に近い。そういう根源的な質を、幾何学図形で目指そうとした20世紀初頭の美術運動は、ピュアで、やはり良い。ここが暮らしやすいのかどうかは、知らないが、美しかった。

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VISIONS festival

Hackney周辺で開催されたVISIONS festivalというものに行った。音楽フェスというと、巨大な公園や巨大なイベントスペース等で開かれることが多いが、これは街中で開催され、点在するいくつかのベニューで同時並行的にライブが行われており、ひとつのチケットでそれらを回れるようになっていた。大きな会場を用意しなくても、普段は独立している街中の施設をつなぐことでフェスになるという姿勢が軽やかでよかった。編集的なので現代的な感じがした。インディーの若いミュージシャンが多く出ており、どのバンドも良かったが、Alvvaysは特に良かった。最も演奏が淡々としており、変に技巧的すぎたり情動的すぎるところがなく、粛々と感傷的なノイズギターをひいていた。もっとキラキラしている若いバンドも多くいると思うが、自分の年の関係かこれくらいの若さが割とよいと感じるようになった。何かが完全に失われる直前という雰囲気があって、諦めに似たはかない感じがきれいだなと思う。世の中においては、まれに、この直前状態をキープしたまま止まったように生きられる人もいる。

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Alvvays

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Calling Festival

同僚氏に誘われ、Clapham commonで開催されたCalling Festivalというフェスに行く。自宅からそう遠くなく、バス一本で行けた。この日はStevie wonderを筆頭にもろもろソウル系の人々が演奏する日で、ふだん全く聴かないジャンルなので、何も知らないが、面白そうだったので行ってみた。

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ソフトロックぽいJack johnsonは少し聴いたことがあった。写真の男がJack Johnsonだが、この人よりもピアノの帽子をかぶった人のほうがステージでいろいろやっており目立っていた。

殆どの人がスティーヴィーワンダーを目的に来ていたようで、実際、他のバンドの演奏時間が45分から1時間だったのに対し、彼だけ2時間半の持ち時間があるという格差が発生していた。ほぼ全曲、合唱状態だったが、自分は1,2曲しか知らなかったので聴いているのみだった。やはり何というか、全体的に、非常に「上手い」感じがしたが、十分楽しめた。随所で、小さな箱みたいな謎の楽器をペチペチ叩いて演奏しており、気になったので帰宅後に調べたところ、herpejjiという、箱に何本もの弦を水平に張った、鍵盤奏者のための弦楽器のようなものだった。

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