月別アーカイブ: 2014年12月

New year’s eve

SAATCHI GALLERYにPOST POP: EAST MEETS WESTという展示を観に行った。大晦日だが普通にやっていた。イギリスとアメリカから生まれたポップ・アートのスタイルが、中国やロシアなど東の国々でどのように受け入れられ、変化していったのかというテーマの展示会…。ポップアート自体、パロディをいかにうまくやるかという世界のため、ウォーホル作品のパロディ返しや、そのパロディ返し返しなど、パロディ合戦の様相を呈していた。マレーヴィチ系のパロディも多かった。意味なくエネルギッシュだった。

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夜、Cafe OTOに年越しのライブを観に行ったが、実はライブイベントでなくDJイベントだったことが行ってから判明し、しまったなと思いつつも、2時間ほど、イスで座りながら曲を聴いた後、店を後にした。

ロンドンは新年にテムズ川周辺から花火を大々的にぶっぱなす行事が恒例となっており、それを観に行こうとしたが、混雑緩和のため今年からそれがチケット制になっていること、またそのチケットはとうに売り切れており、チケットのない人でも花火が見られるかもしれないというエリアも大変な混雑になっているという情報があったので、おとなしく家に戻りBBCテレビでの花火放送を見た。

しかし実は自宅の窓からも、ほんの一部だがその花火を見ることが出来た。またメイン会場以外にも、各所から花火が打ち上がっており、少なくとも花火の破裂音は全方位から聞こえてきており、新年を迎えたという臨場感は確かにあった。昨年は自宅にいなかったので、ここからでも花火を少し楽しめるという発見ができて良かった。窓から身を乗り出して眺めていたら、外にいた若い人々にHappy new yearと声をかけてもらえた。

Leeds castle, Canterbury cathedral

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Leeds castleに行った。世界遺産だと思っていたが、今、改めてチェックしたら違った。こういう時期だったので、城内には、いたるところにクリスマスの飾り付けが施されており、各部屋に必ず一つずつツリーがあり、廊下にも角窓に必ずリースが置いてあった。それでも、以前に行ったWindser城のようなロイヤル感あふれる豪華で華美な感じではなく、田舎にある城らしく、やや古びた味わいのある落ち着いた雰囲気で、好きな感じだった。「英国で最も愛らしい城」と自称しているらしいが、立地、規模、内装など、その呼称も不思議ではなかった。最も、他の城を多く知っているわけではないので、比較できないし、他にいくつの城がそのように自称しているのか、知らないが…。

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併設の庭は、多くの子供連れの家族の遊び場となっており、何故か生け垣で作られた迷路などがあった。特にやることもなかったので入った。中心に山があり、そこがゴールとなっていた。一見、適当な作りのヌルそうな迷路に見えたが、わりと入り組んでおり、攻略に予想以上の時間を要した。

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更にその後、東へと足を伸ばし、Canterbury大聖堂に行ってみた。ミサが既に始まっていて、扉が閉ざされていたが、同行のW氏が、聖歌隊が入る用の出口のような物が別に設けられているのを見つけ、そこから入ってみたら、意外にも暖かく迎え入れてくれ、参列に加わることが出来た。ここのミサは趣向がいままでのものと違い、参加者がロウソクを持って館内の様々な場所を歩きながら行われ、やや演劇調の進行になっていたようだった。宗教建築には、もともとこのような儀式のために特化した導線や、儀式のある一部分のためだけに作られた部屋などが存在することがあるため、こういうミサは興味深かったが、特に何か深い先行知識があるわけではないので、詳しくは分からない。

National portrait gallery

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National Portrait galleryにWilliam Morrisの展示を観に行った。この美術館自体、初めて来たが、基本的には名前の通り肖像画や肖像写真などをメインに扱った展示で、今回のこのモリスの展示も、モリス自身の作品メインではなく、彼のまわりにいた協力者や運動の賛同者、後の時代のフォロワー等、モリスの関連人物の肖像写真と経歴を一堂に展示するといった内容だった。書籍などでちゃんと読むには良い内容だったのかもしれないが、展示としては退屈なものだった。

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Leicester square付近を適当に歩いてから帰った。途中で大規模な建築現場があり、おそらくロンドン市内の建築条例に基づいて、外壁だけ残して、中身がきれいに抜き取られていた。どのような手順でこうやって外壁のみを完全分離できるのか知らないが、見事なものだと思った。

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クリスマスが過ぎて、セールシーズンが始まり、街もいまだピカピカとしている。

夜はBrixstonまでハンバーガーを食べに行った。HONEST BURGERという店で、バーガー自体もおいしかったが、何かローズマリー入りの塩のかかったポテトが美味しかった。

Bluebell Railway

Bluebell railwayというイギリス南部を走る保存鉄道に乗った。50年ほど前に、当時の鉄道愛好家達が廃線を買い取り、自らの手で古い蒸気機関車をレストアして走らせたのが始まりで、今に続く保存鉄道となっているらしい。イギリスは蒸気機関車の発祥の国なので、このような保存鉄道が国内にいくつかあり、世界中から愛好家たちがやってくるようだ。

_DSC9936_DSC9942_DSC9943_DSC9953_DSC9957_DSC9962_DSC9969-_DSC9974_DSC9978_DSC9986_DSC0003_DSC0006列車は北端のEast Grinstead駅から45分ほどで、南端のSheffield Park駅に到着した。この鉄道は全4駅しかない。Sheffield Park駅には充実した博物館も併設されており、様々な鉄道グッズが陳列されていた。_DSC9950車両の雰囲気は非常におもむき深く、特に内装の化粧材として貼られた木パネルと、そこに何度も厚塗りされたらしき飴色のニスの風合いが良かった。座席のクッションの、埃っぽさ、やけにサスペンションが柔らかいバネの感じ、座る時のギチギチという、スプリングコイルが圧縮される感じがありありと分かる音なども、良いと感じさせるものがあった。

車内の後方の座席で、老人が二人乗っていたのだが、出発から到着まで、途切れること無く、ずっと何か話していた。あまり聞き取れなかったが、鉄道とは別に関係ない普通の世間話をしていたように聞こえた。ただ、エンジンの始動時、微妙な振動と共に床の下から何かカチ、カチンという音がし始めたときに、老人の片割れがひと呼吸置いて、「(ロッドの)音だ」とだけ言って、また世間話に戻っていったとき、何か彼らの風格が急激に上がって見えた気がした。

ほとんど聞いていなかったので実際は、鉄道の話や昔話ばかりしていたのかもしれないが、それでも問題は一切ないし、知らない。

Westminster abbey

Timeout(という各国の有名都市のイベントガイドのサイト)に掲載されていたクリスマス的なイベントに行こうとし、現地迄行ってみたものの、パッと見た感じ、雰囲気があまりにローカル感が強く、場違いな空気を強く感じたため、去った。

やることがなくなったので、適当に市内をふらついた。25日は有名観光地の一部の店以外は全ての店が休日になるので、この時期にこの都市を訪れる観光客も、必然的にトラファルガー広場などの有名観光地に集結する。多くの人がいたが、特に何かが行われている訳でもないので、皆、なんとなく所在なく見えた。_DSC9903-

一部の空いている博物館や、こんな日でも警備のため所定の場所に立っている必要のある衛兵などが格好の被写体となっていた。

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なんとなくウェストミンスター寺院の中に入ったことがなかったので、行ってみたらちょうどクリスマスミサの時間だったらしく、予期せず昨日に引き続きミサに参加することとなった。昨日のものにくらべ、時間が短めで、かつ参列者が声を発したり歌ったりするところが極端に少なく、やや退屈ではあった。

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とはいえ、何もなく終わるはずだった一日に、何らかの達成感が与えられたので、良かったのかもしれない。

_DSC9921-スマートフォンの自分撮り棒(セルフィー棒という)も本当にメジャーな存在になった。このような人ごみでも威力を発揮する。

St.Paul

St.Paul大聖堂のクリスマスイブ・ミサに行った。開始は4時からだったが、昼過ぎくらいに到着した際に既に数名が列を作り始めていた。まだ並ぶには少し早いと思われたので、大聖堂の横の喫茶店で様子をうかがいつつ休憩し、1時半くらいから列に並び始めた。非常に寒かったが、3時には扉が開き、建物内に入ることが出来た。_DSC9892- _DSC9894- _DSC9900- _DSC9897-_DSC9901-

礼拝は粛々と行われた。かつて目黒教会の礼拝に行ったことがあったので、だいたいの進行の感じは分かっていた。進行、読み上げる文言や歌などは全て配布される台本に書いてあり、それらをただ目と声で追っていくだけなので、誰でも簡単に参加することができる。自分は普段なんの信仰もなく、時折、観光目的で各地の教会建築等をみて、こうしてふらっとクリスマスのミサに参加している程の俗人なので、何らかの祈りが誰かかどこかかに届くようなことはない。ただ、巨大な空間、異常な装飾の量、人の数、歌の響く感じなど、意味以外のものに圧倒される感じがよい。理屈では自分はここにいる必要がないし、いてはいけないが、特別な空間で何らかが行われている様子を観察することも、面白く感じる。

夜は自宅近くのイタリア料理屋でチキン等を食べた。デザートに食べた、よくわからない、パンとプリンのはざまの様な食べ物がおいしかった。

おもちゃ等

赤ん坊へのプレゼントを買いにHamleysというおもちゃ屋に行った。クリスマス前なので人でごった返しており、少しだけだが、入場規制がかかっていた。人並みをかわしながら店内を物色し、いくつかの品物を選んだ。先日、観たパディントン・ベアの置物が店内に出現しており、人々が代わる代わる写真を撮っていた。

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その後、少し街を観ながら駅まで歩いた。

_DSC9878-更にその後、他にめぼしい贈り物が何か無いかと思い、Crystal Palaceのアンティーク屋にも向かったが、残念ながら、そこは特にこれはと思う物は無かった。

夜はBatterseaにある初めて行くパブで夕食をとった。ざっくりした雰囲気のよいパブだった。食事中、厨房の方から大量のグラスか皿を床にぶちまけたような音が2回、聞こえたが、特に大事ではなかったようだった。

Paddington bear, Battersea dogs&cats home

from paddington.com

Paddingtonという映画を観た。イギリスの児童文学のひとつで有名な「くまのパディントン」を実写映画化したもの。ペルーの山奥からロンドンへやってきた熊がロンドンでドタバタする話なので、ロンドンらしいロケ地が多く登場し、自分も何度も訪れたことのあるような景色のなかで、非日常的なストーリーが展開していくのが凄く面白かった。一年半、住んでいても、自分はよそ者であることに変わりはなく、熊の目線に近いのかもしれない。もっとも、このパディントン熊は、設定上、ペルーの山に住んでいた頃に、おばあさんグマから英語を教わっており、完全に流暢な英語を話せるので、コミュニケーション能力は自分より遥かに高いのだが…。

原作の絵 from paddington.com

更に午後はW氏の勧めでBattersea dogs&cats homeに行った。何らかの理由で飼い主を失った犬や猫を保護・収容している施設で、ここで次の飼い主と出会い、犬や猫達の新しい生活をスタートさせるための手厚いサポートをしている。ここを題材にした人気テレビ番組も制作されており、彼らが不遇な境遇から立ち直り、新しい家族に出会っていくまでがドキュメントされている。久しぶりに犬や猫と会い、視線を交わしたが、やはり動物はかわいいもので、普段ほとんど発動することはない、愛しいというような感情もまだ自分に残されていたことに気付く。ちょうど、1匹の黒っぽい子犬が、新しい飼い主のもとへ引き取られていくところで、里親となる子連れの家族、周囲の見学者、ショップスタッフ等、その場にいた全員が完全に朗らかな笑顔となっており、犬もチョコチョコと尾を振りながら、女の子にリードを引かれていった。

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この頃まだ、カメラがイラストモードになっていたのに引き続き、気付いていなかったため、写真がおかしい。

夜はピザを食べにFranco mancaへ行った。

お国自慢

夜、協力会社の人々とのクリスマス会(と称した飲み会。クリスマスらしい要素はゼロ。)に呼ばれていたので参加した。Templeのあたりのハンバーガー屋の地下の部屋で行われた。もろもろ話が出来、面白かった。ロンドンのハンバーガー屋でどこが一番おいしいかという話を皆でしており、(日記を書いている24日になって思い出したが、)Honest burgerという店がベストという事になっていた。チェーン店でいくつかあるらしい。Byronというチェーン店も有名でおいしいが、それを上回るという話だった。

さらにロンドンのピザ屋でどこが一番おいしいかという話に飛び、あるイタリア人女性はMetro pizzaという店を挙げていた。次点でFranco Mancaが続く。

更に次はロンドンの日本食でどこが一番おいしいかという話になり、唯一の日本人だった自分が当然、解を出さなければならない状況になったが、正直いってよく知らず、また多くの日本食レストランは万人に進められるような値段でないため、答えに窮して、最終的に一風堂などのラーメンを推して茶を濁した。ロンドンの一風堂に行ったことがないが、たぶんおいしいのだろう。日本における「大戸屋」、あるいは「はなまるうどん」に該当するようなクオリティと値段のチェーン店が存在していれば、それを挙げられただろうが、ロンドンにそれらのような店があるのか、自分は知らない。

Rye, Brighton

Ryeという町に行く。カメラの撮影モードが、何故かイラストレーションモード(撮影した画像をイラスト風に加工して記録するモード)になっており、全く気付かずに使っていたため、画像が全て意味なくイラスト調になってしまっていた…。

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Ryeは小さな町だが、アンティーク屋がいくつもあったり、古い丸石を敷き詰めた坂道があったりと風情がある…。坂の上の教会にはクリスマスツリーが飾られていた。この教会には町を見渡せる展望台があり、登っていったが、雨と、吹き付ける冷たい風とで長くは居られず、ぐるりと周囲を見渡して塔内に逃げ込んだ。

3時過ぎくらいに町を見終わり、もう一カ所くらいどこかに寄れる時間がありそうだったため、そこから更に1時間ほどかけてBrightonに行った。ここは既に何回も来ている海辺の街で、海に架かる桟橋がまるごと遊園地になっているブライトン・ピアが有名だが、暗い時間帯にそれを見たのは初めてだった。現在、イギリスは夕方4時で真っ暗になるために、一日がとても短く感じる。ブライトン・ピアのまたたく電飾は、恐ろしい深さで暗い海と、波の轟音とのなかで異様なほど能天気にピカピカとしていて、典型的な悲哀があった。暖をとるため、皆、園内の屋内メダルゲームエリアに逃げ込んで、メダル押し出しゲーム等に興じており、それも同等の良い悲哀があった。あまりに寒すぎたため、ブライトンからはすぐに撤退した。

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意図せずカメラがイラストモードになっていたために、ピアの写真はこのような謎の抽象的発光体として記録されていた。現実にはそこにあった寒々しい波や、叩き付けるような雨は映っておらず、細長い光る未来的な構造物が、無に吸い込まれていくような夢っぽい絵になっていた。銀河鉄道に乗れなかった者が、地上からそれを遠く見送るような辛さがあり悪くないと思った。

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