月別アーカイブ: 2013年3月

惨殺半島 赤目村

今日は昨日、説明を受けた語学学校に再訪し、体験レッスンを受けたり、細かな受講の説明を受けたりした。

帰宅後、サラダとスパゲッティなどを作り、夕飯を摂る。

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購入した武富健治の漫画「惨殺半島 赤目村 1巻」を読む。とても面白い。この作者は現在最も好きな漫画家で、前作の「鈴木先生」は本当に面白く、次の単行本をまだかまだかと待っていた。今回はミステリーサスペンスもので、閉鎖的な田舎の村で起こる殺人事件を描くらしい。1巻の時点ではまだ殺人は起こっていないけれど、観光地化に失敗して閉鎖したレジャーホテル、村八分された家族、村営の娼婦館、巫女…など、創造力をかき立てるようなものがたくさん練り込まれている。

この作者は、以前、漫画実話ナックルズという雑誌で「実話モノ」の漫画を扱っていたらしく、(実話モノ=実際はフィクションにもかかわらず、「これは実話である」という設定で、もっともらしい事件や題材をドキュメントしていく物語の形式のひとつ。フェイク・ドキュメンタリーなどと呼ばれているらしい。昔、テレビ番組で「放送禁止」というシリーズの特番があって、その番組も、「これは、実際におこった事件で、内容の奇怪さからテレビ局内で放送禁止としてお蔵入りになっていたテープを再編集したドキュメンタリーである」といった触れ込みで放送されていて、子供だった自分はそれを完全に信じ込み、しばらく恐ろしさが消えなかった記憶がある。)その手法が今回のサスペンスものにいい感じのいかがわしさとリアリティを与えていて素晴らしかった。この古風な絵柄もあいかわらず素晴らしい。

花見 外科室

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昼頃から会社の同僚の方に誘われて、花見に出かける。穴場的な公園で、非常に良い雰囲気に桜が咲いているにもかかわらず、人がほどよくまばらに居る感じで、良いロケーションだった。ただ気温は真冬のように寒く、少し早まって薄着で出かけてしまった自分は途中から震えが止まらなかった。初対面の人が多かったが、和気藹々とした雰囲気で楽しかった。

その後、夕方に語学学校の説明を受けに、最寄り駅そばの語学学校へ行ってみた。丁寧なスタッフの人にもろもろ解説を受ける。明日、体験レッスン的なものを受けられるというのでまた伺うことになった。

帰宅後、泉鏡花の短編「外科室」を読んだ。青空文庫なので無料だ。これが短編ながらも難解なストーリーだった。

ある外科医と、その外科医の手術を受けようとしている高貴な身分の伯爵夫人の話なのだが、夫人は「麻酔をかけられるとうわごとが出るというから、心の中にひとつだけある秘密が漏れてしまうのが怖い」という理由で麻酔を拒否する。周囲の説得を聞かず、かたくなに麻酔を拒否する夫人に、外科医の高峯は麻酔無しの外科手術を始める。胸を切り開いて、迅速に施術を進めているさなか、夫人が高峯の手をつかむ。「痛みますか」「いいえ、あなただから、あなただから」「でも、あなたは、あなたは、私を知りますまい!」「忘れません」このたった4回の会話のやりとりの後、夫人は高峯の手に持ったメスで心臓を掻っ切って自殺する。そのすぐ後で、高峯も後を追って自殺する。

後半のページには、ふたりが9年前に一度だけ、小石川の植物園ですれ違っていたという記述がなされている。だけどそこでは二人は何か会話を交わしているわけでもなく、お互いに目があったといった描写すらない。高峯のほうは夫人にひとめぼれしたような感じで描かれているが、夫人のほうは高峯に気付いていたかどうかすら定かではない。

物語はそれで終了で、つまり、9年前に一度だけ植物園ですれ違った男女が、やがて外科医と患者となり、夫人はなぜか麻酔を拒否し、外科医もそれに応じ、手術中に、実はお互いを意識していたことを数回の会話で確認し、直後、夫人は自殺し、外科医も後を追って自殺するという、話し。

凄まじくミニマルな物語で、9年前の一瞬だけの出会いの中だけで育まれた恋愛感情を壊さないよう、そのロマンのなかで殉死するというのがあまりにもピュアすぎて、狂気を感じる…。少なくとも常人の精神構造ではあまりにもあり得ない物語に、置いてきぼりにされた感を受けるが、だからこそなのか、独特の、何か、美しいものを見た…のだろうか…という恍惚感がある。

今週最後の送別会

今週3つめの送別会。年度末なので多くの人が会社を去ったり別の部署へ異動したりする。

特に今日は数多くの人が会社を去った。世話になった人も何人もいたが、皆に直接挨拶を出来たわけではなかったので、メールにてもろもろ感謝の意を伝えた。

今日は会議が立て込んでいたり、送別会の準備があったりして日中ずっと忙しく、今日中にやらねばならない業務が出来ていなかったので、送別会終了後、オフィスに戻って引き続き作業をした。そのためにアルコールも摂らなかった。作業は思ったより時間がかかり、深夜2時過ぎまでかかった。

そんな時間になったのに、今日で会社を去られる何人かの方が、片付けや、引き継ぎのデータ移行などで、まだ会社に残って最後の仕事をしていた。挨拶に行き、しばらく話しているうちに、流れで少々飲みに行くことになり、明け方5時くらいまで会社近くの居酒屋にて談笑した。自分に多くの影響を与えてくれた方だったので、今後も交流を続けたいと言ってお別れをした。明け方5時、空はまだ夜明け前で薄暗く、ぶり返した寒さが、新しい季節の来るのを拒否しているように感じられなくもなかった。

_DSC6594 _DSC6603 _DSC6604 _DSC6607帰宅途中、目黒川に架かる橋から下を見ると、川面が散った桜で埋め尽くされて、一面ピンク色になっていた。一瞬の突風で散ったのか、大量の花びらが3〜50メートルの帯になって流れていた。明け方なので、橋をゆく人たちは2,3人しかいなかったけれど、皆がその光景を写真に納めていた。自分もそれをカシャカシャと撮影しながら、きれいだなと思った。

帰宅して風呂に入り、すぐ眠りについた。

 

会議の生産性なんてどうでもいい

目黒駅のそばにある「藤しろ」というラーメン屋に寄って帰宅。3日連続でラーメンを食べたことになる。この店は最初に訪れたときに、感動するほど、おいしく感じられたので、何度か来ているのだが、今日は味が薄く感じられた。昨日のラーメン屋でも味が薄く感じられたので、これはおそらく自分の舌のほうがおかしくなっているのだと思った。これは良くない…。

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鈴木健「究極の会議」を読んだ。先日、内田樹が激賞しており、「複雑な社会を複雑なまま生きるにはどうしたらよいか」というテーマに惹かれて購入した、同著者による「なめらかな社会とその敵」を読み始めたのだが、十数ページ読んで、内容がとても濃そうな感じがしたので、「ここ2,3日の自分のコンディションを考えると読めなさそうだな」と思って、助走をつけるために、同じ著者のライトな感じの別な本を買ってみた。

本の内容は、「議事録ドリブン」と名付けられた、「会議はその場で議事録を作るためにある」という、全員で議事録をプロジェクタ等で投影しながら、議題やToDoや結論を可視化しつつ進めていくという会議手法を解説したもので、これは単純な手法ながらも勉強になった。意見を書き出していかないと、先の意見はどんどん忘れられていって、後からでた意見が、後から出たという理由だけで重要視されるような過ちは、良くある。

でもこの本の面白いところはそこではなく、最終章で、会議という共同作業の概念を拡張するところから始まって、ネット会議の今後から、文明の未来へと話がつながっていく飛躍があるところだった。たぶんこの人が本当に書きたいのはこのあたりで、それはおそらく「なめらかな社会とその敵」に書かれているのだろうと思うので、助走のために読んだという目的は達せられた気がする。会議手法の解説本でありながら、「ぶっちゃけ会議の生産性なんてどうでもいい」「生産性の向上は現代文明にとって、もはやどうでもいいことは何度言っても良い足りない」「しらふで『生産性が向上します』などと言っている人はいわば病人」などと連発し出す最後の展開は熱い展開だ。「過度な生産性の向上は、人間の日々の生活を息苦しくする」「『生産性の向上』は普通に楽しく暮らすという自然な生き方を犯罪者扱いする」このあたりの意見は、いままさに飽和しつつある問題なのに、個人ベースの解決法しかなく、まだ誰も社会システムとして解決できていない問題なので、この人はここに突っ込んでいって次の本を書いたのだろうと思う…。

後半になってやっとわかったが、この著者は以前、NTT出版の「Inter Communication」にも寄稿していたと思う。同じような話が載っていて、どこかで読んだなと思ったら、Inter Communicationの情報社会系の特集号だった。

最近、乾燥機の調子がどんどん悪くなっており、以前は1週間分の洗濯物をまとめて放り込んでもパワフルに乾燥してくれたのに、大した量ではない肌着や靴下だけの乾燥でも、重量に耐えきれずすぐピーピー鳴って止まるようになった。このピーピー音に、何故か自分でも笑える程にカチンときてしまう。意味ない怒りで無意味に疲れる。

ふたたび送別会

今日は会社で部署移動をされる方の送別会だった。こちらも多くの人があつまり、楽しい時間を過ごした。くだけた感じの本当に良いゆるさのある会で楽しかった。渋谷にある、小学校の教室を模したテーマパーク型の飲み屋で、皆が赤白帽などをかぶっていてカオティックだった。

帰りに同僚3人とでラーメン屋に寄って帰る。やすべえという店で、高田馬場にもあり、住んでいたころ、良く行っていた。久しぶりに食べ、おいしかったが、味が薄くなっていた気がした。2日連続でラーメンを食べたことになる。

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月曜の送別会

会社を去る人の送別会に参加。楽しい時間を過ごす。店を2件まわり、最後にラーメンを食べて深夜に帰宅。そこから少々作業をし、4時前に床についた。今日はまだ月曜日なので、今週は大変だなと思いながら、すぐ眠りにおちた。

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HOUSE VISION、海と毒薬

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東京の湾岸、青海地区でやっているHOUSE VISIONという住宅の未来を考える展覧会に行った。1800円も入場料を取る割には残念な展示会だった。以下、展示内容のメモ。

1[住の先へ]LIXIL×伊東豊雄…よく分からなかった。

2[移動とエネルギーの家]Honda×藤本壮介…Hondaの次世代モビリティはすごかったが、それに対応する空間がよく分からない感じになっていた。断面図を見ると3層のレイヤー構造のコンセプトがよく分かるのだが、実空間がレイヤー性をほぼ感じられないくらいオープンで弱かった。

3[地域社会圏]未来生活研究会×山本理顕…これは面白かった。かつてバックミンスター・フラーやパオロ・ソレリ等がアーコロジー(巨大な建築物をひとつの町として、その中にひとつの社会を作り、生態系を構築する)としての建築を実験していたが、それを現実的なサイズに落とし込んだという感じ。地域社会圏という数十世帯を1単位とする共同生活のありかたを提唱。

4[数寄の家]住友林業×杉本博司…よく分からない。自慢の素材を使った和室のようだったけれども、フェイク感がすごい。

5[家具の家]無印良品×坂茂…これは坂茂の代表作の、家具自体を構造体にして住宅を設計したものの進化版。もともと、モジュール性や工業製品としての住宅を念頭に造られたコンセプトだったであろうから、無印良品との相性はとてもよく、分かりやすくまとまっていた。

6[極上の間]TOTO・YKK AP×成瀬友梨・猪熊純…意味不明だった。

7[編集の家]蔦屋書店×東京R不動産…これは一番面白かった。デザインの素人である一般の人でも、住宅作りを楽しめるような基盤を作ろうとしていた。かつて、石山修武が、住宅を構成するパーツの値段や入手経路を暴きながら、素人でも住宅を造れるという社会を作ろうとした「秋葉原感覚で住宅を考える」にも通じるものがあった。提案されていた住宅サンプルが、複数のデザインテイストがぐちゃっと組み合わされたものだったのも良かった。デザインを統一してシンプルな美を出していく、そぎ落とすタイプの抽象表現は、プロでなければ難しいやり方だけれども、複数のテイストをぐちゃぐちゃとまぜていって、複合させていくことで結果的にその人のテイストを抽象化して表現する方法は、開かれたデザインメソッドで良い。

総合ディレクターの原研哉が、未来の住宅を現実的に考えていくために、住宅メーカーと組んで、産業的な視点をもってディレクションした結果、こういう形の展覧会になったのは分かるのだけど、結果的に出来た空間は、よく分からないものが多かった。自分があまり興味ないだけなのかも、しれないが…。

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展覧会を見終わった後は、少し本屋に寄って、帰宅した。目黒川の桜は満開で、多くの人出があった。毎年のことだけれども、桜の白さに驚かされる。いつまでも、桜はピンク色だという思い込みが抜けず、実際に桜の咲く季節になってみると、思ったよりずっと白いなと思う…。

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帰宅して、購入した山本直樹の漫画「レッド 7巻」を読む。連合赤軍として革命運動に身を投じた青年達の話。6巻からだいぶ時間が空いたので、また話を忘れており、前巻を読み直す。

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その後、kindleでセール中だった遠藤周作「海と毒薬」を読んだ。タイトルしか知らなかったが、200円で安かったので購入。kindleストアは週替わりでセールをやっているので、適当に目についたものをふらっと購入している。
内容は、戦時中、米軍捕虜の生体実験手術に関わった医師達の物語だった。登場人物の殆どが「どうしようもなかった」「どうでもいい」という諦念のかたまりのような存在で、葛藤が描かれているというより、「もう諦めたのになぜかまだ苦しい…」という処理できない暗さが全体をつつんでいた。これはどういう人に向けられた小説なのか知らないけれども、自分はこの暗さと読後感が気持ちよいと思った…。他人の苦しみで癒されるというのは、人の業のひとつだけど逆らえない…。

家に友人を招く

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土曜日。大学時代のサークルのかたがたを家に招いた。

夕方から集まってもらうことにしたので、日中は家の掃除を行ったり食料の買い出しに出かけたりした。目黒川の桜はまさに満開で、多くの人で賑わっていた。橋のたもとのカレー屋が、花見客用に出店を出してタンドリーチキンをジャウジャウと焼いていたので食べたくなったが我慢した。

夜は集まっていただいた方々と楽しい時間を過ごした。皆、いろいろな転機があるようだった。それぞれの苦労もある。

もうずっと長いこと、飲み会のたびに、僕はあまりに人と会わない時間を長く過ごしすぎたのかも知れないという反省をすることが多かったが、最近は少し変われつつあるのかもしれない。

関係ないが日記のタイトルを客観的な事実にするようにした。日記の内容に対して、全く関係ないタイトルをつけるのが唯一の楽しみで、そのために日記を書いている時すらある感じだったが、アーカイブとして過去の検索性が悪すぎるので止めることにする…。

アジアを喰う

夜遅くに帰宅。

今夜は通勤に使っている山手線が事故でしばらくストップしており、同僚の方々と連れだってタクシーで帰宅した。kindleでまた鈴木みそ氏の漫画を買って読む。

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特にこの作家がお気に入りというわけではないのだけど、kindleコミックランキングの上位にあるので、とりあえず寝る前のちょっとした時間に1冊読もうという感じで買ってしまう。この人はルポタージュ系の漫画を多く出しており、この「アジアを食う」という漫画は面白かった。アジアでサナダ虫に寄生される話があったが、家の近所にある目黒寄生虫会館で見た全長数メートルのサナダ虫のホルマリン漬けの生々しい姿を思い出して、気持ち悪くなった。

電気を消してすぐ眠りについた。

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