突発的にロンドンから車で1時間少々離れた南西の街、Winchesterへ行った。イギリスの首都がロンドンに移るまで、首都として機能していた古都。朝から嵐のような暴風雨が降っていたので、半ば終わったなとあきらめつつ車を走らせていたが、着く頃には奇跡的にカラリと晴れた。
街の感じも古っぽく、一部の古い建物の外壁にはフリント(燧石)が埋め込まれていて、荒く割った形が特徴的で面白い。
この街で最も有名な建造物、ウィンチェスター大聖堂を見た。ヨーロッパ中でも有数の巨大さを誇るゴシック様式の聖堂とのことで、空間の量感に圧倒される感があった。
実は目当ては聖堂本体でなく、その地下室に展示されているイギリスの彫刻家アントニー・ゴームリーのSound Ⅱという彫刻を見ることだったのだが、地下室が開いている時間が限られていて、最初に来た時は早すぎたため、2時間ほど他を見てからまた戻ってきた。
冬季は地下室が浸水するため、水面に佇むような形になっている。夏季は水がなくなり、彫刻のすぐそばまで行けるようだ。でも、近づいたら、この満ち満ちた寂しい緊張感が壊れるような気もする。ちなみに、遠目からは分からないが、胸の前にかかえた手には水が張られていて、本来は、窓の外から射した太陽光が、手の中の水面に反射して、彫刻の顔をゆるやかに照らすという仕掛けになっているらしい。今は工事か何かで、窓の外が塞がれてしまっているとの事だった。
聖堂併設のカフェで泥のようなスープを飲む。泥っぽい香りがしたがおいしいような気がした。
その後、川沿いの遊歩道を歩いたり、山に登って街を見下ろしたりした。
コンパクトな街だったのと、年末で美術館等が軒並み閉まっていたこともあって、日が暮れる前にやることがなくなり、早々に帰路についた。夕食をこの街で食べていこうかと思っていたが、あまりお腹が空かなかった。