月別アーカイブ: 2016年5月

宮殿

家から歩いて20分ほどのところにある川沿いの公園に散歩に行った。このあたりに暮らして3年弱になるにも関わらず、この公園には行ったことがなかった。小さいながらもFulham palaceと名のついた宮殿を有する公園で、かなり広い。今日は初夏のように暖かく天気も良かったことから、多くの人が庭にシートを広げてくつろいでいた。宮殿の裏の方にWall gardenという、その名の通り壁に囲われた庭園があり、その壁の裏側に回ると、物静かな林と草原があり、やや穴場らしく、数組の家族や老夫婦がポツポツと座っていた。DSC_0735 DSC_0738 DSC_0739

夏の公園では、ビキニ等の水着を着た若い女性がゴロゴロと寝転んで日焼けをしている光景をよく目にする。日本では、公園でここまで露出の高い格好を目にすることは少ないので、最初は驚いたが、既に日常的な景色となった。半裸の男性も同様にガツガツと日焼けにいそしむ姿が見られる。この壁の裏側も、ややひっそりとしているので、半裸で寝転ぶのにちょうど良いのか、幾人かが日光下にせっせと身体をさらしていた。ボウボウに伸びた青草に埋もれるようにビキニの女性が突っ伏していたので、死んでいるように見えた。

4月

またひと月を押しつぶして書く。漫画、HUNTER HUNTERの冨樫先生ですら長期の沈黙を抜けて連載を再開したというのに、自分程度の人間が書くのをやめているのはどうかと思うという気にはなっていた。

4月8日 またHamburgに行って日帰りで戻った。

4月15日 もろもろお世話になった会社の同僚の方が、次の異動地へ旅立つため、送別会が行われた。

4月17日 上述の同僚の方とその家族とのお別れ会にも参加した。いくつかの家族が集まり、賑やかな会となった。子供らどうしが最後に何度も指切りげんまんをしていた。別れるという現象を、どの程度理解できる年齢なのかどうかは分からないが、ケラケラと笑いながら無邪気かつ執拗にそれを繰り返しており、すでにそれ自体が面白くなってしまって無限のループに入っているようだった。もっとシリアスな別れであれば、子供らのそうした無垢なふるまいが感傷を増幅させるというドラマチックな構図になったと思うが、今回のものは別に今生の別れとなるような深い別れでないので、皆それを笑って見ていた。自分は無表情だったかもしれない。

4月20日 Wimbledonの寿司屋に行った。先月も同僚氏を連れて行ったせいか、店員が顔を覚えていた。声をかける際に、「アニキ」と呼びかけてくる店員だった。

4月23日 Somerset Houseで行われている「PICK ME UP」という若手グラフィック・アート作家のグループ展、活版印刷などを用いたイギリスを代表するプリント作家Alan Kitchingの展示、SONYの主催しているSony World Photography Awardsの展示、の3つを連続して見た。Alan Kitchingの作品はあまりにも素晴らしいものがあった。もともと文字という記号を使っている上に、多色刷りや過剰なレイヤーの重ね合わせを多用する作風のせいか、画面が非常に広く見える。文字がかぶりまくったり、位置が激しく飛んだりしているのに、それでも読め、伝えられるようになっているのはこの画面の中の立体感を完璧に制御できているからなのかとも思う。

その後、St.Pancras駅付近に移動し、マレーシア料理の店に連れて行ってもらった。非常においしかった。

4月27日 父親が来英。これから1週間ほど旅行に出る。今日はヒースローに迎えに行き、自宅近くのパブで食事をした。

4月28日 グラスゴーに飛行機で行き、そこからレンタカーを借りて、フェリーに乗り、スコッチウイスキーの産地として有名なアイラ島に上陸した。

4月29日 朝、アイラ島のすぐ隣の島のジュラ島に渡り、ジュラの蒸留所を見たのち、アイラ島に戻っていくつかの蒸留所を回る。自分はウイスキーのことは良くわからないが、景色がとても素晴らしく、海岸沿いに建つ蒸留所の荒々しい雰囲気が強く印象に残った。

4月30日 アイラ島を出発し、またフェリーに乗って、インヴァレリー、フィーン湖あたりを経由しつつグラスゴーに戻った。

5月1日 グラスゴーを観光。昨年訪れたマッキントッシュのグラスゴー美術大学、Willow tea room、スティーブンホールのReid buildingなどを見たのち、グラスゴー大聖堂や、前回は見られなかったザハ・ハディドの交通博物館などを見た。

5月2日 朝の飛行機でロンドンに戻る。空港の駐車場に停めてあった車のバッテリーが何故か上がっており、駐車場内のサービスセンターにかけこんで助けてもらった。その後、父親のお土産を買うために近所の大型スーパーに出かけたところ、そこでもまたバッテリーがあがり、メンテナンスサービスを呼ぶ羽目になった。バッテリーが根本的に何かおかしくなったようだ。

車をなんとか家に置き、その後、大英博物館を見学した。

5月3日 朝、パディントン駅に荷物を置きに行き、その後グリニッジ天文台に行った。昼頃にはバラ・マーケットに移動し、昼食をとったのち、高層ビルのThe Shardの展望台に登ってロンドンを見渡した。その後水上バスでロンドンアイ付近に移動、ビッグ・ベンやウェストミンスター聖堂などをチラ見したのち、パディントン駅に戻って父親を見送った。今回の旅も様々なものが見れて面白いものだった。特にアイラ島の景色は想像以上に良いものだった。

その後パディントンからハイドパーク内のSerpentine galleryまで歩き、DAS INSTITUTの展示と、HILMA AF KLINTの展示を見た。どちらも、言葉がまだ発明されていない時代の古代の芸術のような雰囲気だった。どちらも何かストーリーのようなものを感じさせるが、それがいまの人類の使う記号で書かれていないので、何かのストーリーがある、ということしか分からない。なんとなく、サーペンタインギャラリーの展示品は、そのようなパラレルワールドの美術といった趣のものが多い気がする。

夕方、壊れた?車のバッテリーを調べに業者が見に来るが、原因が分からず、専門の人をまた明日呼ぶという。

5月4日 車のバッテリーを調べに業者が見に来るが、特殊なバッテリーのため、工場に持って帰って専門の設備でチャージしないといけないとかで、バッテリーを持ち帰り、また後日来るということになった。

5月6日 車のバッテリーが再チャージされて戻ってきた。これで一応直ったのだろうが、また同じように原因不明のバッテリー切れを起こさないか不安になる。

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