Talking Type

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Victoria&Albert museumに行った。現在ロンドン市内の様々なところで、London design festivalと称して様々な展示が行われており、このVA博物館でも大規模な特設展示やイベントが行われている。_DSC8898

主な目的はTalking Typeという講演会を聴きに行くため…。世界的に有名なデザイン事務所PentagramのDomenic Lippaという方が、彼が影響を受けたタイポグラフィと、実作について語るというものだった。言語がやはりあまり聞き取れないこともあり、開始2分以内くらいでいきなり眠ってしまって、最初の10分くらいは聞き逃してしまったが、紹介されるスライドは興味深いものが多く、バウハウス、ダダイスム系、エル・リシツキーやヤン・チヒョルトなどのモダンタイポグラフィの黎明期のもの、ハーブ・ルバリンに代表されるアメリカ系タイポグラフィ、ミューラー・ブロックマン、エミール・ルダー、ウォルフガング・ワインガルドなどのスイス系タイポグラフィ、ウィム・クロウウェルのオランダ系、オクタヴォなどのデジタル以降のタイポグラフィ、などが次々と紹介された。その後、それらの作品から学んだことを結実させた仕事として、Circular Magazineのレイアウトの解説がなされた。

実作は別室で実物も展示されていた。かなり実直に、先人達の研究・構成感覚を身につけて、進化させているという感じで、文字以外の構成要素はあまり用いずにストイックなレイアウトをしており、美しかった。ヘルムート・シュミット(というスイス系タイポグラファ)が言っていた、見ることと読むことの両面からの追求を丁寧にやっている感じがした。

紹介していたスライドの内容は、モダンタイポグラフィの歴史をざっと舐めて行くようなものだったが、構成としては、日本で発行されている「タイポグラフィ・トゥデイ」の内容に近く、それに近年の誠文堂新光社刊の雑誌「アイデア」で特集されている巨匠の作品を加えたような感じで、見覚えがあるものも多く、言葉は不明ながらもなんとなく理解できて、アイデア誌が「グラフィック・デザインの理論的土壌を作る」と言って、歴史の総まとめをしてくれていたことをありがたく思った。

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ノンブル(ページ番号)が外に飛び出てる。この号では意図的にエラー要素を取り入れたとの事。写真では見えないが、本文の組版も、通常だと間違いとされるようなことを多くやっている。_DSC8930

大胆に明けた余白がきれいで良い。この余白の感じを効果的にするために、A3サイズくらいの大きさが必要だったが、そのせいで雑誌がポストに入らなくなってクレームが来たとか言っていた気がするが、そうは言っていなかったのかもしれない。

講演会後は、館内の他の展示を見漁った。大量にいろいろ見たが、Julia Lohmannという昆布を素材としたオブジェを制作している人がスタジオを一時的にここに移して公開しており、これがかなり面白かった。_DSC8902 _DSC8904 _DSC8905 _DSC8907 _DSC8908 _DSC8912 _DSC8913 _DSC8914

北海道に数ヶ月、滞在して作品を作っていた期間があるらしく、昆布を素材にすることはそのときにひらめいたらしい…。ナガコンブという昆布を使っているらしい。日本の昆布が、異国の地でこのような謎の造形物に変化しているというのも楽しい。まわりの人がワンダフルとかクールとか言っていた。

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大きい作品もあった。こういうクネクネした気持ち悪い形がわりと好きなので、やや気分が高揚した。

その他の作品にも割と気になるものがあった。

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その後、更に館内でやっている「Memory Palace」という企画展も見た。これも面白い内容だったが、写真が撮れなかった。

更に場所をショーディッチ地区に移し、そこでの展示もいくつか見た。雨も降って来て、多くの店が閉まり始めたので、帰路についた。

帰宅後、適当にサラダを食べて夕食とした。部屋がずいぶん寒くなってきた。

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