Ai WeiWei

RAで開催されているAI WeiWei展に行った。会期終了が迫っていたが、非常に人気が高く、チケットが買えない状況が発生していたため、美術館側が、最後の数日間は24時間営業するという措置を取り、同僚のかたがそのチケットを入手してくれた。深夜1時くらいに展示を見るというのは初めてのことだったが、その時間帯にもかかわらずかなり多くの人がおり、関心の高さがうかがえた。

dsc_0166_23392176090_o dsc_0167_23319898419_o dsc_0168_23661760376_o dsc_0171_23687866555_o

アイ・ウェイウェイは、周知のように中国人作家でありながら中国社会を批判する非常にドキュメント性の高い作品を作り続けている。数万本の鉄骨を使って作られた波のような立体作品があり、それは中国内陸で大地震が起きた時、手抜き工事のために、多くの建物が倒壊し、本来ならばあり得ない規模の被害・死者を出したことに対してのメッセージとして、倒壊した建物から、むき出しになった鉄骨を一本一本回収し、人の手で打ち直して真っ直ぐにするという作業を数万本分、行って作り上げたというもので、異常な迫力があった。その様子を撮影した映像も上映されており、何人もの市民が協力して、歪みまくった鉄骨を回収、偏執的なまでに叩き上げて直線にしていく作業が記録されていた。ウェイウェイ氏は、自分が中国当局に逮捕されて投獄されていた2、3年の期間にも、その作業が止まっていなかったことに驚いたと話していた。

他には、中国の伝統的な木工技術を駆使したアンティーク家具をコラージュした立体作品も多く展示されており、そうした最高レベルの工芸技術がかつてあったにもかかわらず、現代の中国は、手抜き工事など、粗悪品の代名詞にもなっていることへの対比が示されていた。

氏の基本的な姿勢としては、そうしたかつての中国への憧憬を胸に、それを破壊したのは政府であると断定して、攻撃的な作品でもって批判を続けるというものなのだが、基本的には中国固有の社会背景に根差すものなので、他国人である自分にはこれらの作品を同じ強度で受容することはできない。ただ作品からは、明らかにこの人が異常に怒っているということだけは伝わってくる。訴えている内容は非常にシリアスなのだが、その表現があまりに過剰なので、怒りが突き抜けていて、心地良いとさえ感じる不思議がある。深夜にもかかわらず大量の人が観賞に訪れているように、氏の作品は、世界的に人気が高いようなのだが、パンクを生んだイギリスの人たちは怒りや反抗に対して惹きつけられるものがあるのだろうかとも思った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA