と、だけを集めたフォント

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朝から食事以外は外出せず、フォントのエンジニアリング的な部分の調べ物をして過ごす。その過程で、以前から何となく作っていた、いろいろな「と」の字形だけを集めたフォントを生成した。

と、だけフォント DOWNLOAD

一応、フォントファイルの形になっており、illustratorなどの「字形」タブから異体字扱いで各種「と」を選択できるようにしてある。OpenTypeのaaltフィーチャーで実装。

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でも日本語フォント特有のエンジニアリングの部分がどうもよく分からず、Adobe社の出しているAFDKO(Adobe Font Developpers Kit OpenType)を使うらしいというところまで分かったが、説明のページを読んでも、(英文しか無いせいもあるが、)よく分からず、なんとなくで生成されている。普通に日本語環境で使えるが、コンピュータ的にはこれは「欧文フォント」と判断されてしまっているようだ。

今回のフォントは、よくタイトルの文字組などで、「と」や「の」といった、接続語だけを特徴的な字形に変えることで、雰囲気を出すという小技のために作られた。現段階では「と」のバリエーションしか収録しておらず、またバリエーションもまだ少ないが、おいおい補充できると良い。

shuchinroku tsukiji kana収録した字形のうち半数程は、日本の近代活字の礎とされる、築地活版印刷所「築地体」、秀英舎活版見本などに掲載の字形をベースに改刻しつつ作成した。最も有名な築地体初号の、一筆書きでないほうの「と」はフリーの築地体初号復刻フォントのMOJもじくみかななどに入っているので、入れなかった。府川充男「聚珍録」という本には、日本の近代の貴重な印刷見本が3,000ページ近く載っている。府川氏が6年間毎日、朝から晩まで国会図書館に通い続け、収集・研究した集大成的な本で、その執念に圧倒される。それをパラパラとめくりながら作業していたが、多くの面白い字形がまだまだたくさんある…。古い活字のもつ独特のうねりは力強くて気持ちいい。「と」ひとつとっても、自分が認識していた文字の形を大幅に超えるものがたくさんあり、よくあるゲシュタルト崩壊がたくさん起きた。

本来、一文字だけしかないフォントなど邪道だと思うが、全てを描き起こす気力が自分にはない。すぐ、あちこちに興味がうつってしまう…。

参考

府川充男 聚珍録データベース
(聚珍録に掲載の全ての図版がデジタル化されていて検索可能。このオープンな姿勢は生粋の研究者の態度のなせるわざかと思う。凄いことだ…。)
http://joao-roiz.jp/FJPMODTYPEF/about/

日本の活字書体名作精選
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/sample/seisen/seisen.html

秀英体研究
http://www.dnp.co.jp/shueitai/contents.html

iPhoneアプリ秀英体全集
入手困難な古い見本帳がiPhoneアプリとなって蘇っている。これも凄いことだ。
http://www.dnp-digi.com/lab/shueitaicomp/

など

と、だけを集めたフォント」への2件のフィードバック

  1. 的場仁利

    はじめまして。『聚珍録』で検索をしていましてこのページを見つけました。「と、だけフォント」とは、素晴らしいアイデアですね。お近づきになれれば幸いです。

    返信
    1. toyoda 投稿作成者

      的場さん
      はじめまして。コメントありがとうございます。興味を持っていただけて幸いです。日本語書体フルセットを作るのは到底、無理なのですが、欧文書体でも、数字だけ、オーナメントだけを収録したフォントファイルがあるように、紙面を引き締めるアクセント用途としての「と」だけに特化したフォントファイルがあっても良いのではと思い、作ってみました。これ以外にも、「の」だけフォントという構想がありましたがまだ実行に移しておりません。。。
      聚珍録、素晴らしい本ですよね。そしてその貴重な図版を全てwebに公開しているという姿勢にも驚かされました。。

      返信

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