イギリスの南東部、Kent州にあるDungenessという岬に突発的に行った。(上記の航空写真はWikipediaより引用)もうずっと前の事になるが、会社の同僚に、戦時中に建設されたトーチカの存在感が好きだという話をしたところ、この場所を勧められた。ずっと忘れてしまっていたが、昨夜、急に思い出して、行ってみる事にした。
ここにはイギリスでも最大級の丸石の浜が広がっており、船を引き揚げるのに使っていたと思われる古いウインチや、朽ちた船などが転々と遺されている。
この船はOspreyと名付けられていた。オスプレイというと以前、ニュースになっていた米軍の最新鋭の垂直離着陸機と同じ名前だが、こちらは既に役目を終えて傾きながら朽ちていた。
カメラと三脚を持った人たちが幾人かウロウロしており、それぞれの詩情を満足させる何かを探していたっぽかった。とにかく朽ちたものばかり周りにあり、景色が殺風景すぎて、新しいものすら、外界とは全く関係のなくなったもののように見えるので、被写体には欠かないだろうと思う。
枯れた感じの軽食屋にて食事(サンドウィッチ)をとる。
ここには、相当、こじんまりした鉄道駅があり、どうやら蒸気機関車が来るようだったので、しばらくそれを待った。カシュカシュとやって来た蒸気機関車が思っていたよりずっと小さく、比較対象が写っていないので大きさが分かりにくいが、車高は大人の背丈より低かった。乗ってみようかとも考えたが、面倒になって見送った。何もないところを割ってゆっくり去って行くのはきれいではあった。
浜は、基本的に凄まじい風速の横殴りの風がずっと吹いており、風に押されてバランスを崩すことが何度かあった。自分の前を行っていた3〜4歳くらいの男児がMammy-と叫びながら飛ばされて行くのを見た。
波打ち際が激しく荒ぶっているにも関わらず、30人程の釣り人が一列に並んで、何かを釣ろうとしていた。何が釣れるのか知らないが、このひどい風の中で命知らずな人々が30人もいるので、なぜか笑えてしまうものがあった。
Dungenessには原発が2基ある。Dungeness Aというものと、Dungeness Bというもの。
こういう僻地にはままあることだと思うが、小さな絵画スタジオがあった。こんな殆ど誰も来ないようなところにもかかわらず、WELCOMEなどと書かれた看板が立っており、扉が大きく開け放たれていた。
人との関わりを避けながらも、人と交流したがっているような背反した感じが、何となく、自分の中にある直視したくない部分を刺激して危険な感じがしたので、中には入らなかった。
少し車で場所を移動し、Sound Mirrorという、1930年頃、海岸の警備用に建設された、コンクリート製の巨大な反響壁を見られるポイントを探していたら、トレーラーハウスが大量に設置されている一画に迷い込んだ。別荘用として、一棟£20000-£50000くらいで売りに出されていた。住んでいる人も何人かいたようだ。
最終的に別な道から奥に入ったところで、Sound Mirror(Listening Ear)を見られるポイントを見つけた。夏にはウォーキングツアーがあってもっと近くまで寄れるようなのだが、今回はここが限界だった。左にあるのが円弧型のもので、右に2つあるのがパラボラ型のもの。この壁が遠くからの音を集音するので、前に立つと、周囲の音が拡大されて聞こえるらしい。
いろいろ見たので、長い記録になった。