Seven Sisters

突発的にイギリス南部、SussexにあるSeven sistersという白い崖を見に行く。なんとなく、どこでもよいので自然っぽいところに行こうと思った。以前に行ったドーバーと同じように、炭酸カルシウムを主成分とするチョーク質の崖だが、地理的には場所はだいぶ離れている。かなり巨大な崖で、その白さときれいすぎるくらいの断面から、やたらと高貴な感じがした。七つの岬があることからSeven sistersというらしいが、どれがその7つに該当するのかは分からなかった。

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無数に落ちているチョーク質の石は非常に柔らかく、少し削っただけでも簡単にペースト状になる。

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すぐ反対側に位置する崖は赤褐色で、地理的にほぼ同じ場所にあるのに、地質が全く違うのは面白い。

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崖を下からしばらく見た後、崖の上にも登ろうと思い、草原を歩いたところ、簡素なトーチカを数基、発見した。イギリス南東部の海岸と、フランス北部の海岸には第二次世界大戦のトーチカが無数に残されているらしい。特にフランス北部の海岸線はアトランティック・ウォールと呼ばれ、その強力な防御力で海からの侵攻は困難とされていたようだ。そこを強引に突破したのが有名なノルマンディー上陸作戦となる。

軍事関連の知識はほとんどないのだが、トーチカの建築的な存在感には関心があって、調べた事がある。昨日、tate britainの展示で見たトーチカの写真はまさにフランス北部の海岸線にあるもので、それらは何故か、どうも単純に機能的要因だけではなさそうな異様な造形になっていて、より興味深い。

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中にも入る。レンガ作りのものとコンクリート作りのものがあった。天井はトタンの波版が貼ってあった。_DSC0476 _DSC0480

牛とトーチカ

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だいぶ歩いたが、やっと崖の上に到着し、波打っている地面を眺めた。

最初、景色に気を取られてしばらく気付いていなかったが、周りを見ると、落ちている小石を使って、地面にいくつも名前が書いてあった。アルファベット以外にもハングル文字らしきものや、判読がかなり際どいがデーバナガリー文字のようなものもあった。石は風や雨などでやがてバラバラになるので、文字の形状が消えかけている状態のものもいくつもあって、生き死にのグラデーションがあった。観光地のベンチや木などに、文字をマジックで書き付けたり、クギ等で刻むのは正直あまり好ましいと思っていないが、この感じは悪くはなかった。悪くなかったが、自尊心の関係で自分の名前はセットして来なかった。

_DSC0498 _DSC0501 _DSC0504来る前にガソリンスタンドで、昼食用にサンドイッチを買ってきていたので、見晴らしの良いここで食べようと思った矢先、今まできれいに晴れていたのに急に雨雲が来て、雹に近い、痛いような冷たい雨が降った。小さい傘は持っていたが殆ど意味をなさず、ずぶ濡れになり、しょぼいサンドイッチを良い感じのところで食べるという小事すら叶わず、セブンシスターズを去った。山から降り、駐車場に着く頃には、またきれいに晴れが戻ってきて、新しく来た人々は半袖で揚々と道を歩いていった。

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