Richard Tuttle

髪を切るために外出、その後、Brick Laneにあった適当なインドカレー屋に入った。何か素早く食事を済ませたかったので、テイクアウト系の店で店内でも食べれるような感じのところに入った。ガラスケースの中に並んでいたカレーを選んで、お金を払うと、ご飯とルーが皿にさっと盛りつけられ、それらは目の前で電子レンジに投入し加熱された。店内も、まるで倉庫のようだったが、むしろ簡素さは好ましくもあり、落ち着いた。味もとても美味しかった。(そもそもこの手のインドカレー屋は、どんな外観だろうが外れは殆ど無いのは知っていた)

その後Whitechapel GalleryでRichard Tuttleというアメリカのミニマリズムの作家の展示を見た。糸くずや針金、布の切れっ端など、日常的な、凄まじくどうでも良い物を素材として、簡素なコンポジションのレリーフ、彫刻群を作っていた。強い主張をもつ要素が一切ない雰囲気が、同じく紙くず、針金などで構成された北園克衛のプラスティック・ポエムに似ていた。北園克衛の時代では「プラスティック」という外来語は「造形」という意味で使われていたようだが、現代にあっては大量生産品のイメージが強い。自分も最初にそれを聞いたとき、人工的な詩、という意味なのだと思い、全然、芸術らしい生命力がないのにやけに美しいその作品群にぴったりなネーミングで、すごいなーと思った記憶がある。ポエジーというのはおおよそ孤独への共感のことだと解釈しているけれども、死んだように主張がなくて、人工的で、意味ない日用品からすら孤独を掘り起こそうとするミニマリストたちは病的で本当にきれいに見える。

Richard Tuttleの作品 from Web

Richard Tuttleの作品 from Web

北園克衛のPlastic Poem from Web

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