ラ・ヴィレット公園

しばらく日記から遠ざかっていた。平日は就労していて、週末はもろもろ作業などしており特段記述するようなことも無かったために、気がつくと多くの日数が経ってしまっていた。

今週は1日だけだが、パリに行く機会があり、用事を済ませた後に少し時間ができたためにいくつかの建物を見て回った。

ルイヴィトン財団美術館は、二度ほどその外観だけを見ていたが、今回はついに中に入ることができた。外観からでは想像できないが、大小、大きさや形のバリエーション豊かなボックスが内部に詰まっており、その空間に合わせた作品がほどよいバランスで置かれていて、とても良かった。縦方向にボリュームが伸び縮みする感じがダイナミックで好きだった。_DSC1332 _DSC1343 _DSC1370 _DSC1376

更に足を伸ばし、ラ・ヴィレット公園に行った。バーナード・チュミの設計による「フォーリー」という謎の赤い小パビリオンが公園じゅうにグリッドに沿って点在している。1982年に行われたこの公園の設計コンペは当時の建築界で相当な話題になったらしいが、自分はそのずっと後に学生となって、そのコンペを本で見たのみなので、実際のところは分からない。ただその本で見たチュミのコンペ案に描かれていたアクソメ図がやたらと格好よかったことを非常によく覚えており、実際にどのようなものが建っているのか見てみたかった。

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結果的には図面のほうが圧倒的に美しく、もともと観念的な内容だったこともあってか、実空間としては明らかに失敗している感が強く出ていた。フォーリーというのは、庭園などに装飾用として建てられる意味のない小屋のような建物のことを言うらしく、この案に関しても、公園という概念的な場所をテーマにどのように哲学できるかというような内容で、そもそも空間的に豊かなものを作ろうという気は無かったのだろうから、それはあえて言うべきことでもないのかもしれない。

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基本的に、80年代のデコン的な作風の建物は構造を露出するのが好きで、公園内のイスとか、ブリッジの柵のようなところとかもザクザクと骨をむき出しにしており、個人的にこういうのは好きなので、やっぱりいいなあなどと思っていた。普通の感覚だと、こういう裏方の構成材みたいなのは、もう一枚パネルを貼ったり、そもそも見えにくいようにスタイリングしたりしてあまり露出させないが、この時代はそういうデザイン処理が逆に格好良くないという雰囲気だったのだろう。

公園内には他にも有名な建物としてポルザンパルクの「音楽都市」やジャン・ヌーヴェルの「パリフィルハーモニー」があった。このふたつの建物は隣り合って建っており、プリツカー賞受賞者の設計した建物が並んでいることになる。
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フィルハーモニーのほうは最近竣工したばかりなのだが、前に、建物の建設費がかさみまくって工事が大幅に遅れ、完成していないにもかかわらず市が竣工式を行って、設計者のヌーヴェルが激怒、式典をボイコットみたいなニュースを見ていたので、どういう感じなのかなとは思っていた。外観はぱっと見、出来ていたが裏側に回ると確かにいまだに工事中の箇所が多く、これでよく稼働させているなとは思った…。

チュミのあの赤いフォーリー群は、見てみて割とがっかりするようなものだったが、それでも、通常、憩いとか触れ合いとかそういう優しげなテーマで作られる公園にたいして、思い切りコンセプチュアルで冷たい、一見して何か怖い感じがする幾何学形態をねじ込まないと気が済まない人間がいたとこいうことは面白いと思った。この設計に関してチュミは一冊、本を書いているので読んでみたいとも思った。

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