Göteborg 02

最後に、カール・ヨーハン小学校(Karl-Johanskolan)に行った。ここもとても良かった。窓枠や天井が赤や黄色で大胆に着彩されており、それらが風化した黄土色のレンガや、鈍い茶色の光沢の銅板などと相まって、劇的な薄暗がりに生きた感じを与えている気がした。校舎内の落ち着いた闇の中から、明るい校庭へと子供らが飛び出していって、遊んでいた。

_DSC2396 _DSC2395_DSC2405_DSC8237_DSC2406_DSC2417

校舎内には、数ステップの段差が随所に設けられていて、その向こうから光が差して、パキパキとした影のシルエットでリズムを作っていた。

この小学校は、アスプルンドの初期の頃の設計なので、全体的に、教会のような、古典的な光の作り方をしているのかもしれないが、丸っこい照明や、弧を描くドアや、アーチのついた階段室など、丸い造形を使って光を回していくという操作がすでに見られた。この人の設計には、異常な造形物、形がとにかく空間を支配するような強い形状というものはないようだ。強烈な形がなくても、光の感じがやはり独特で、幾何学的造形をうまく使いつつ、抽象的な柔らかい光が作り込まれている。この嗜好が、やがて、先に見たような、バクテリア研究所やイェーテボリ裁判所のような、角丸を多用した、あらゆるエッジが溶けて、室内全体に光が回ってふわっと明るくなるというスタイルに到達するのだろう。

_DSC2414_DSC2452_DSC2433_DSC2438_DSC2435

このドアもすごくいいと思った。こういう強い色は、あまり他の設計では使っていないようだったが…。

_DSC2427_DSC2488_DSC2454_DSC8243_DSC8260_DSC8244 _DSC8239夕方の便で、ロンドンに戻った。とりあえず行ってみたという旅にしては、良いものを多く見られたと思う。実は、昔からアスプルンドに特別な関心を抱いていたということは全くなかった。今回、行きやすさ(航空券が安かった)、網羅しやすさ(作品がほぼ全てスウェーデン国内で完結)という観点から、アスプルンドが最適なのではという着想をたまたま得たため、このように急ごしらえで家を出たのだが、うまく吉と出たようだった。

建物を見に行く旅というのは、目的を絞り込みやすく、また移動する理由もあり、訪れた実感も感じやすく、旅に出る理由として成立しやすいので、良い。特定の国へ旅行すること自体が目的になると、その国の特産物を食べ、歴史を見、買い物をし、自然を見て、人を見て、など、どこまでの条件をクリアずれば、その国を見たということになるのか分からず、もろもろやることに追われる感じがして、行く前から面倒になってしまう。建物を見に来たという大義名分があると、たとえば郷土料理を食べなかったとしても、それが目的ではないと自分を納得させることができるので、良い。

一応、今回は宿の側に、手頃で入りやすいスウェーデン料理屋があったので、ミートボールとかソーセージは、食べた。

Göteborg 02」への2件のフィードバック

  1. セキプルンド

    コメントしようしよう思って迷いに迷った末、長らく経ってしまいました。
    アスプルンドの旅、素晴らしかったみたいね!ブログを読んだだけでグングン伝わってきたよ。
    写真からも、アスプルンドすげええええ感がヒシヒシと。
    恥ずかしげも無く正直に言います。
    う゛ ら゛ や゛ ま゛ し゛ い゛

    返信
  2. toyoda 投稿作成者

    >セキプルさん
    コメントありがとう。正直、とりわけ強い興味があったわけではなかったのだけど、
    今回、実際に見て一気に引き込まれました。
    ゴリゴリした強い形があるわけではないのだけど、、かなり良かったです…。

    返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA