小名浜

國分功一郎の「暇と退屈の倫理学」を半分くらい読んだ。人間が本能的に持っている、「暇」や「退屈」を感じてしまうというメカニズムが、石器時代から現代に至るまでどのように経済や文化、人の生き方を作ってきたかについて考察した本。アーツアンドクラフツ運動、資本主義…あらゆる営みを、「暇」という観点から語っていておもしろい。

縄文土器になぜ不必要な縄模様がついたのか、という疑問に、著者は「暇だったから」と答えている。それまで定住せず、遊動生活をしていた人類は気候変動などの何らかの理由で定住を強いられるようになり、定住による「暇」の発生が食料生産システムやさまざまな文化を生んでいったという見方をしている。暇が芸術を生んでいった。

この考え方は学生の頃に読んだ、アドリアン・フォーティ「欲望のオブジェ デザインと社会」という本の説得力を援護するのだろうか…。「欲望のオブジェ」はモダン・デザインの歴史を学習するうえで個人的にははずせない分かりやすさを持った本で、「暇と退屈の〜」は、自分の中ではさらに他の本と併せて下記のような流れでつながった。

ニコラス・ペヴスナー「モダン・デザインの展開」…デザインを芸術と同じように作家の思想・精神性の変遷から語っている本

レイナー・バンハム「第一機械時代の理論とデザイン」…デザインの発展をリードしていったのは作家の思想ではなく、テクノロジーと機械の発展によるものだと語っている本

アドリアン・フォーティ「欲望のオブジェ」…デザインが発展していったのは、ただテクノロジーが発展したからではなく、社会が発達し、市場経済を回すために他品種化せざるを得なかった中で、否が応にも社会的価値観が多様化し、その欲望に応える製品が生み出される必要があったためと語っている本

國分功一郎「暇と退屈の倫理学」…社会と経済の成熟が人間に暇をもたらした。暇が人の文化的営みや思想にどんな影響をおよぼしたかを書いている本

残りを読み進める…。

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