月別アーカイブ: 2014年8月

Talin

ヘルシンキからフェリーに乗ってエストニアのタリンという町に来た。タリンは旧市街という保存地区が世界遺産に登録されており、古い石畳の町並みが期待どおりのファンタジー感を出しているきれいな町だった。

_DSC4675 _DSC4697 _DSC4708ヘルシンキータリン間はフェリーで2時間半程度で、多くのヘルシンキの人々が日帰りでタリンにやってくるという。タリンは物価が結構安いらしく、特にビールがヘルシンキと比較して異常に安いらしく、帰りのフェリーでは多くの客がカートを引いて、大量の箱買いしたビールを搬入していた。自分は土産用に箱入りのチョコレートを買ったが、それも何かが間違っているような安さで驚いた。

Finland 02

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VRというJR東日本に似たマークを持つ列車に乗ってTampereという町に移動した。

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カレヴァ教会という建物を見たのちに、街中をフラフラと歩きながらムーミン谷博物館に行った。今年はムーミンの作者のトーベ・ヤンソンの生誕100周年にあたる年で、各地で多くのイベントが開かれているという。なぜか写真を一切撮らなかったので、何も載せるものが無いが、多くのムーミンの原画があり見応えがあった。特にムーミンに深い思い入れがある訳ではないが、単純にあのヌルっとした造形は好みではある。冷静に見ると明らかにグロテスクな形状をしているにもかかわらず、紙一重でかわいくできるというのは北欧および日本の専売特許という感じがある。かわいさが、奇形から発生するので魅力的になる。

_DSC4660その後、町を一望できる塔、その下にある北欧で一番おいしいというふれこみのドーナツ屋、などに行き、割と夜遅くの電車でヘルシンキに戻った。ドーナツはシナモンが生地に練り込まれたもので、非常に優れていた。シナモンという食材は時折、自分が手を出しては行けないと感じるようなオシャレ感を出していることがあるので恐ろしいものの一つだが、久しぶりに食べると非常においしく、やられた。

Finland 01

フィンランドに旅行に出る。一日目はヘルシンキについてすぐFLOW festivalという音楽フェスに行った。ヘルシンキ中心部からそう離れていないところにある元火力発電所跡地で開催されていた。入場者数は約2万人とのことで、ヘルシンキの人口が60万人くらいなのでかなりの人数がここに集結していることになる。良い演奏が多く、かなり楽しめた。

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翌日からは市内散策およびアアルトの建物などを見た。写真を適当に貼る。

アカデミア書店

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アアルトスタジオ。現在でもアアルト財団のオフィスとして使用されており、アアルト建築の修復やリノベーションなどを手がけるために数人の建築家が仕事をしている。

曲線的なドアの取手。アアルトの建物の多くに登場する。

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照明の多くも、シリンダー形状の組み合わせのバリエーションでできている。

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色彩は基本的に白く、それに家具の木目と光がきれいに映える。

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さらにアアルトの自邸にも足を運んだ。曲げ木のディティールが随所にあるとはいえ、基本的には幾何学的な構成なのに、光の入り方がとにかく優しく柔らかく、落ち着く。圧倒されるみたいな強い空間表現があるわけではないし、何らかのコンセプチュアルな理論を感じるわけでもないが、とにかく空間の質がよいと感じる。体験しないと分からないという意味で料理や音楽に近い。そういう根源的な質を、幾何学図形で目指そうとした20世紀初頭の美術運動は、ピュアで、やはり良い。ここが暮らしやすいのかどうかは、知らないが、美しかった。

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Patient

日曜から一週間ほど、休みを取り旅行に出かけるので、その前に片付けなければならない仕事を終えた。日付をまたいで、ずいぶんと遅くなり、明け方に帰宅した。会社を出る際に、24時間常駐している警備員の方が、You are patient.といった。patientは形容詞として、我慢強い、勤勉、よく働くといった意味があるが、名詞だと病人という意味になる。褒められているような気が全くしないので、割と好きな言葉のひとつとなっている。多くのねぎらいの言葉は、ただのあいさつだが、ねぎらいと蔑みが同時に入っていると、悪くない感じになる。ネイティブ話者がどのようなニュアンスでこの単語を使っているのかは、知らない。

ベルリン

出張でベルリンに行った。業務の場所に行って、話し合いをもって、それが長引いたので飛行機の時間が迫ってしまい、他には何もせず戻ってきた。少し時間が空くだろうと踏んでおり、ナショナル・ギャラリーなど行こうかと思っていたが、その時間はなかった。ナショナル・ギャラリーは過去に2回ほど訪れているが、いずれも閉館日で中に入ったことはない。

ベルリンのテーゲル空港は、ドイツの首都ベルリンの窓口にしては非常にしょぼいと有名で、実際に特に快適に時間をつぶせるようなところもなく、何もないゲートでしばらく飛行機の搭乗を待った。壁に貼ってあった携帯会社の広告の鳥人間の写真をずっと見ていた。Angebote pfeif ich mir unterwegs reinというドイツ語は、外出先でもいらいらせずに使えますといった内容らしいが、鳥が言う必然性はとくにない。

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Turner contemporary

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Margateという町にあるTurner contemporaryに行った。Mondrian and colourという展示をやっており、モンドリアンの初期の風景画や人物画など、あまり見たことのない作品が多く展示されていた。初期の風景画などは全く特徴のないものと言ってよい。何度かの中間地点は経ているが、例のモンドリアンスタイルへは結構いきなりジャンプして到達している感がある。単に積み重ねでたどり着くのでなく、いきなり謎の飛躍がある。

デ・ステイル結成後の絵は潔癖にコンセプチュアルなので、例えば、今まで絵を全く描いたことのなかった哲学者がいきなり描き始めた絵ですと言ってくれた方がまだ腑に落ちる。あのスタイルの確立後は、ロシアの社会主義の流れを受けて、「芸術は自己表現であってはいけない」という、背景を知らないと不思議に聞こえる考えを示していたとされるモンドリアンだが、その表向きの芸術家としてのポーズ以外にも、やはり皆と同じように、素朴な風景画を自分のタッチで描きたいという裏の姿があったのかと思うといっそう興味深い。

from Turner contemporary website

from Turner contemporary website

その後、近くにあったShell grottoとかいういつ誰が作ったのか全く謎という貝殻洞窟を見て、さらに近辺の浜辺などをフムフムと見て帰宅した。

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VISIONS festival

Hackney周辺で開催されたVISIONS festivalというものに行った。音楽フェスというと、巨大な公園や巨大なイベントスペース等で開かれることが多いが、これは街中で開催され、点在するいくつかのベニューで同時並行的にライブが行われており、ひとつのチケットでそれらを回れるようになっていた。大きな会場を用意しなくても、普段は独立している街中の施設をつなぐことでフェスになるという姿勢が軽やかでよかった。編集的なので現代的な感じがした。インディーの若いミュージシャンが多く出ており、どのバンドも良かったが、Alvvaysは特に良かった。最も演奏が淡々としており、変に技巧的すぎたり情動的すぎるところがなく、粛々と感傷的なノイズギターをひいていた。もっとキラキラしている若いバンドも多くいると思うが、自分の年の関係かこれくらいの若さが割とよいと感じるようになった。何かが完全に失われる直前という雰囲気があって、諦めに似たはかない感じがきれいだなと思う。世の中においては、まれに、この直前状態をキープしたまま止まったように生きられる人もいる。

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Alvvays

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今週はいろいろと忙しかった。短期間で複数のものを量産し、それらの印刷物がオフィスの作業机の上に散乱していた。墓場のように意味がなくて、美しい気がした。

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