サン・ピエール教会に行った。これはコルビジェの死後、数十年に渡り工事が止まっており、2000年以降に、コルビジェ建築が町おこしになると市議会で議決されたのちに、目玉作品として工事が再開され、完成したという建物。
基本的に、造形はけっこうゴチャゴチャしていて、なんと言うか実験作だったのかなという気がする…。部分を切り取ると面白い構成が見られるのだが、全体的には主題がないような感じで、そんなに秀作ではないという感じがする。コンクリートが新しくツルツルしているのがまた暴力性に欠ける。
また、この建築の目玉は、壁面に穿たれた、オリオン座をかたどった無数の穴で、ここから内部空間に美しく光が漏れるというものなのだが、外観から受ける印象と同じで、装飾が具象的すぎるのではと思う。コルビジェが生きていたらこんな安っぽいプラネタリウムみたいなの作ったかな、という疑問が残った。
個人的には、こういう直で星座をかたどるという小細工的な光の操作は期待していなかった。美しいかな?これ…。余計な事するなよという感じがする。
他には、まさにコルビジェっぽい、幾何形態と色による光の操作がたくさんあり、きれいではあったのだが、どうもプラネタリウムの失望を引きずってしまい、全体の印象を引き下げてしまい、あまり総合的に良いと思えなかった。 建物内にはビエンナーレの出展作品のひとつである、YURI SUZUKIのインスタレーションが随所に寄生した菌糸類のように置かれていた。来場者が自由にパイプを組み立て、設置できるタイプのものだったようだ。これはこれからもっと量が増えてごちゃっと空間を支配したら面白そうだった。
教会の隣にはプールがあり、これもコルビジェの設計物。中は見学させてもらえたが、女子の水泳大会みたいなものが開催されており、写真はやめてくれとのことだったので、外観写真しかない。窓の割り方がきれいだった。