SPECTRE

勤務先で映画の試写会の機会をもらったので、夕方にそれに出かけた。アクション映画で複雑なストーリーのものではなかったが、やはり何を言っているか分からないシーンが多々あった。大まかな概要は分かるが、細かな冗談とか、決め台詞っぽい言い回しが楽しめないので、やや物足りない感が残った。そもそもシリーズ物の映画だったので、前回までのコンテキストが分かっていないと理解できない箇所もあったようだ。映画の後は、一緒に見に行った同僚の人々とラーメンを食べて、帰路についた。

私の好きなバグ

人生の大半をパソコンの前で過ごしているので、画面がバグってよく分からないことになるケースはたまに目にする。それらが割と美しいと感じ、スクリーンショットを撮っている。

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先々週くらいのことだが、身体中にいきなり蕁麻疹が出て、まる1日ほどそれが続いたことがあった。蕁麻疹が出る直前に、ある日本料理屋で、うどんや、タコ、アナゴなどの天ぷらの類を食べたのだが、それらの何かしかにアレルギー反応したのかもしれない。今までは全く問題のなかった素材でも、加齢すると体の何らかが変化し、受け付けられなくなることは、一般的にある。その逆ももちろんある。

何が原因だったのかは不明だが、今度は再度一つずつ試してみて原因を探る必要があるだろう。そもそも食物のアレルギーだったのかどうかすら謎だが、こればかりは人体実験するほかない。

常食していたサバ缶も、おそらくあまりに常食しすぎたせいか、最近、なぜかあまりおいしく感じなくなってしまった。変化してしまうのは人の生態として避けられないのだけれど、やや面倒にも感じる。

Sheffield

SPIN360という展覧会を見るため、Sheffieldというロンドンから電車で2時間ほどの街に行った。これくらい離れている街でも、一番安い席ならば往復で50ポンドしないというのは良い。以前、会った人は、普段はここシェフィールドで一人で働いていて、週に一度だけ会議などでロンドンに来ると言っていた。それで十分らしい。

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展覧会自体は、SPINという、伝統的なスイスタイポグラフィをベースにしたデザインの研究と実践をやっている事務所の作品集の発行に合わせた企画展で、ロンドンで行われたものも先月、見たのだが、今回のもののほうが規模が少し大きく、展示内容も少し違うようだったので、一応見ておきたく、足を運んだ。SPINの作品よりも、SPINの造形言語を作った過去の他者の作品を多く展示していた。記号やピクトグラムも、タイポグラフィの一種として同列に研究しているようだった。

その他、幾つかのギャラリーを回ったが、時間が相当に余ったので、駅のすぐ隣の高台に建つブルータリズム建築の集合住宅を見に行った。既に人は住んでいないようで、駅前の立地にも関わらず巨大な廃墟と化していた。無数の無人の窓に囲まれた人工的な中庭部分で、何人かの子供がセグウェイ的な乗り物で遊んでいて、最後の人類のようだった。

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巨大な建築群の一部はリノベーションされ、売り出しが始まっていた。

その地を後にし、しばらく喫茶店などで時間を消費し、駅に向かうと、その集合住宅方面から黒煙が上がっており、消防車が丘を駆け上がっていくのが、見えた。

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食べ物

同僚に誘ってもらい、自転車で20分ほどのところにあるイタリア料理屋に行った。すでに夕飯を食べたあとだったが、飲み物だけでもと思い、行った。少し料理も食べさせてもらったが、自分の舌でもはっきりと違いがわかるほどおいしい味がした。イタリア人の同僚のおすすめの店とのことだった。例えば全ての日本人が礼儀正しいわけでもなく、全てのスペイン人が陽気なわけでもないように、イタリア人でも食事に興味がない人もいるのかもしれないが、現時点では関わりのあったイタリア人は例外なく食べ物にこだわっているようだ。

電話

携帯電話を新しい機種に変更した。以前のものは、もう3年ほど使っており、動作が限界まで遅くなってしまっていた。普通に電話を取るのですらもたつき、場合によってはフリーズするなどの現象が発生し始めたために、必須アプリケーションを除くすべてのアプリケーションを削除して、しばらく運用していたが、それでもやはり限界を感じ、最新機種に変えた。毎日使うものなのに、なぜもっと早く変更しなかったのかと思うほど、動きが違いすぎて快適になった。毎日使うといっても、毎日持ち歩いているだけで、特に何らか頻繁に連絡を取るようなこともしていないので、重すぎる動作でも今まで耐えられたのかもしれない。

ワルシャワ

昨日、今日とポーランドのワルシャワに居た。ほとんど業務上、関係のあるところにしか行っていないが、バスや地下鉄、トラムなど、公共交通機関を使って街をグルグルと回っていた。行き先などがもろもろ分かりにくく、派手に迷いながら歩き回っていたため、疲弊した。

自分がかつて住んでいた静岡県浜松市が、ここワルシャワと姉妹都市であることは、いつだったか習ったので知っていた。姉妹都市だからといって何がどのようにお互い、益をもたらしているのかはよく知らなかったが、今、簡易的にネットを見たところ、音楽文化友好交流協定締結というものを結んでいるようだ。ワルシャワが、ショパンが生まれた街としても知られているので、その像などが浜松に贈られていたらしい。今回、利用した空港もワルシャワ・ショパン空港という名前だったが、待ち合いコーナーの一角にピアノとショパンコンクールの映像があったのみで、特に音楽的な何かは見当たらなかったように思えた。

姉妹都市という制度は、もろもろの地方都市が意外な都市と関係を結んでいることのよくある制度だが、意外な場所に意外な碑が建っているといったことはままあり、たまにそれらを知ると不思議な時間と地理の歪みを感じる。意外性以外の感想がない。_DSC2813

ベルリン

会議室にいるときは非常に厳しい顔をして、肩書きが下っ端の人間とはほとんど、会話をしようとしないが、会議が終われば別人のようにフレンドリーになる類の人がいて、それ自体が存在することについては、そういうものがあって何ら不思議はないし、疑問はないが、ここ欧州のほうがそのような振る舞いをよく見かける気がする。良い悪いとかでなく、そういう自然なものなのだろう。

Göteborg 02

最後に、カール・ヨーハン小学校(Karl-Johanskolan)に行った。ここもとても良かった。窓枠や天井が赤や黄色で大胆に着彩されており、それらが風化した黄土色のレンガや、鈍い茶色の光沢の銅板などと相まって、劇的な薄暗がりに生きた感じを与えている気がした。校舎内の落ち着いた闇の中から、明るい校庭へと子供らが飛び出していって、遊んでいた。

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校舎内には、数ステップの段差が随所に設けられていて、その向こうから光が差して、パキパキとした影のシルエットでリズムを作っていた。

この小学校は、アスプルンドの初期の頃の設計なので、全体的に、教会のような、古典的な光の作り方をしているのかもしれないが、丸っこい照明や、弧を描くドアや、アーチのついた階段室など、丸い造形を使って光を回していくという操作がすでに見られた。この人の設計には、異常な造形物、形がとにかく空間を支配するような強い形状というものはないようだ。強烈な形がなくても、光の感じがやはり独特で、幾何学的造形をうまく使いつつ、抽象的な柔らかい光が作り込まれている。この嗜好が、やがて、先に見たような、バクテリア研究所やイェーテボリ裁判所のような、角丸を多用した、あらゆるエッジが溶けて、室内全体に光が回ってふわっと明るくなるというスタイルに到達するのだろう。

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このドアもすごくいいと思った。こういう強い色は、あまり他の設計では使っていないようだったが…。

_DSC2427_DSC2488_DSC2454_DSC8243_DSC8260_DSC8244 _DSC8239夕方の便で、ロンドンに戻った。とりあえず行ってみたという旅にしては、良いものを多く見られたと思う。実は、昔からアスプルンドに特別な関心を抱いていたということは全くなかった。今回、行きやすさ(航空券が安かった)、網羅しやすさ(作品がほぼ全てスウェーデン国内で完結)という観点から、アスプルンドが最適なのではという着想をたまたま得たため、このように急ごしらえで家を出たのだが、うまく吉と出たようだった。

建物を見に行く旅というのは、目的を絞り込みやすく、また移動する理由もあり、訪れた実感も感じやすく、旅に出る理由として成立しやすいので、良い。特定の国へ旅行すること自体が目的になると、その国の特産物を食べ、歴史を見、買い物をし、自然を見て、人を見て、など、どこまでの条件をクリアずれば、その国を見たということになるのか分からず、もろもろやることに追われる感じがして、行く前から面倒になってしまう。建物を見に来たという大義名分があると、たとえば郷土料理を食べなかったとしても、それが目的ではないと自分を納得させることができるので、良い。

一応、今回は宿の側に、手頃で入りやすいスウェーデン料理屋があったので、ミートボールとかソーセージは、食べた。