Rye, Brighton

Ryeという町に行く。カメラの撮影モードが、何故かイラストレーションモード(撮影した画像をイラスト風に加工して記録するモード)になっており、全く気付かずに使っていたため、画像が全て意味なくイラスト調になってしまっていた…。

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Ryeは小さな町だが、アンティーク屋がいくつもあったり、古い丸石を敷き詰めた坂道があったりと風情がある…。坂の上の教会にはクリスマスツリーが飾られていた。この教会には町を見渡せる展望台があり、登っていったが、雨と、吹き付ける冷たい風とで長くは居られず、ぐるりと周囲を見渡して塔内に逃げ込んだ。

3時過ぎくらいに町を見終わり、もう一カ所くらいどこかに寄れる時間がありそうだったため、そこから更に1時間ほどかけてBrightonに行った。ここは既に何回も来ている海辺の街で、海に架かる桟橋がまるごと遊園地になっているブライトン・ピアが有名だが、暗い時間帯にそれを見たのは初めてだった。現在、イギリスは夕方4時で真っ暗になるために、一日がとても短く感じる。ブライトン・ピアのまたたく電飾は、恐ろしい深さで暗い海と、波の轟音とのなかで異様なほど能天気にピカピカとしていて、典型的な悲哀があった。暖をとるため、皆、園内の屋内メダルゲームエリアに逃げ込んで、メダル押し出しゲーム等に興じており、それも同等の良い悲哀があった。あまりに寒すぎたため、ブライトンからはすぐに撤退した。

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意図せずカメラがイラストモードになっていたために、ピアの写真はこのような謎の抽象的発光体として記録されていた。現実にはそこにあった寒々しい波や、叩き付けるような雨は映っておらず、細長い光る未来的な構造物が、無に吸い込まれていくような夢っぽい絵になっていた。銀河鉄道に乗れなかった者が、地上からそれを遠く見送るような辛さがあり悪くないと思った。

_DSC9840-気温が冷え込み、朝や夜などは車の窓ガラスが凍り付いていることもある。凍結した模様が美しいこともある。きれいだなと思うが、2秒後には即座にヒーターを入れて、さらにワイパーを作動させてゴリゴリと削るように氷にダメージを与えていく。

ハチワンダイバー

日曜。雨で寒いので家に居た。雨で寒くなくても居たかもしれないが、どちらでもよかった。

Denousen

「ルポ 電王戦(松本博文)」「ボナンザVS勝負脳(保木邦仁・渡辺明)」という二冊を読んだ。どちらもコンピュータ将棋に関する本…。電王戦とは2011年から行われているコンピュータ 対 人間の棋戦で、ボナンザ(Bonanza)はコンピュータ将棋に革命を起こしたアルゴリズムをもつ将棋プログラムのひとつ。

オセロで人間がコンピュータに絶対に勝てなくなり、チェスで世界チャンピオンがコンピュータに負けても、将棋ではコンピュータは絶対に人間に勝てないと言われていたが、2014年現在では、既にプロ棋士の9段(最高段位)をはじめ上段者が何度も破れており、名人の羽生善治などとはまだ対戦していないものの、棋力では既に人間を超えつつあるとされている。

最近、たまに意味なくiPadで将棋(将棋ウォーズというソフト)をやっているのだが、下手すぎてオンライン対戦で全く勝つことができず、かといって数多くある将棋の定跡・戦法を覚えようにもいまいち勘所がわからず、誰かに最初の基礎部分を手を引いて教えてほしいと思った。どんな分野でもそうだが、最初に「学び方」さえ教えてもらえれば、あとは独習ができるが、学び方すら分からないと、後が続かない。将棋ウォーズにはBonanzaに影響を受けて開発された、Bonanzaより強いPonanzaという解析エンジンが搭載されており、対局中に「棋神降臨」ボタンを押すと、5手だけ、自分に代わってその最強のPonanzaが指してくれるという機能がある。ただ実際、それを使っても、何故その手が最善になるのか自分には全く分からず、また、その手を使っても、その後の差し回しを考えられる棋力が無ければ続かないので、殆ど意味ないのだが、そんなに最強の将棋解析エンジンがあるのであれば、それを使って初心者に、レベルに合わせた手ほどきをしてくれるコーチング機能をつけてくれないかなーと思ったことから、コンピュータ将棋についてもう少し知りたくなり、上記の本を読んだ。

本の中で、ほんの一瞬だけコーチという可能性に触れられていたが、基本的にはまだどのソフトも、最強を目指して開発が続けられているようで、コーチングという機能は特に考えられていないようだ。

Bonanzaの開発者の保木氏自身は開発当初、将棋を殆ど知らないレベルだったようで、Bonanzaに過去のプロ棋士の何万という棋譜を「自動的に学習させる」という革命的な機能をつけたことで、本人の棋力をはるかに超えるソフトを作ったとある。その機械学習のためのパラメータと、人間が覚え易いパラメータは全く違う指標になるだろうが、似たようなアルゴリズムで、人間を手ほどきするための棋譜を逆生成できるプログラムができるのではという気がする…。

Constructing worlds

Barbican Centreに行く。ここは二次世界大戦後に建てられたヨーロッパでも最大の集合住宅・複合文化施設だが、その巨大さと、あまりに重々しいコンクリートのブルータリスム表現のため、ロンドンの歴史的景観に合わないと、ここを嫌う市民も多いようだ。でも自分はここの荒々しくて分厚いコンクリートの感じを好ましく思っている。ここのものに限らず、基本的にやや経年劣化した分厚いコンクリート塊の感じが好きで、以前に観たノルマンディーのトーチカなどはそれらの最上位に位置している。

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ギャラリーでやっているConstructing worldsという建築写真の展覧会を観る。名建築の傑作写真展といった趣きでなく、バリエーション豊かで、王道的な建築のグラビア写真的なもの、無名の町並みと人々に焦点をあてたルポタージュ的なもの、建物を被写体に写真それ自体の芸術表現をもとめたものなど、もろもろあった。

from Flowersgallery

最後の方に展示されていたNadav Kanderという人の写真が面白かった。中国の地方のある河川を撮影したドキュメント作品というベースだが、いかにも記録写真らしい、リアルな感じを極力そぎおとしたテイストで、非現実的なイメージを重ねて、さらに霧の感じを誇張して中国の伝統的水墨画のイメージも重ねていた。リアルなものをリアルなカメラでアンリアルに撮らないと表現できないリアルな風景がアンリアルな絵画に似ているのがリアルで…というようにイメージにイメージを何枚も重ねまくりながら、作品自体はすっきりして何かメッセージを叫ぶような感じもないというのが、すごく現代の作家という感じがする。

from Lucien Hervé website

古典的なものでは、コルビジェの建物を多く撮影していたらしいLucien Hervéの作品などがあり、これは、光と影のコンポジションを美しく構成したかったのだな、とコンセプトが分かりやすい。あまりに上手いので、その画面から何か精神的なものを語ることは可能だろうが、基本は平面構成の妙に焦点があったと思われる。

更に、別室で行われていたWalead Beshtyという人の展示も見た。新聞紙とか空き箱とかのゴミに何か青い図像を転写したものを大量に並べてあった。

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帰宅時、サンタも帰宅しているのを見た。この他に十数名、いた。ビール等を片手に持ち、飲んでいた。

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スーパーに寄って帰宅。向かいの家の玄関にクリスマス用イルミネーションが灯った。スーパーにもクリスマス用食材がたくさん売っていた。時間が経つのがあまりにも早い。

砂糖

今日はずっと眠気がとれず、一日中、ほとんど眠っていた。日中もさんざん眠っていたのに夜も通常通り眠ることが出来た。1週間ほど前に、偶然、砂糖を断つと眠気が取れるというネット記事を見てから、甘い物を殆ど食べないようにしていたがあまり意味ないようだ。1ヶ月、2ヶ月と続けていくと違うのかもしれないが…

Sigmar Polkeなど

from Tate Britain website

Tate BritainにLate Turner展(ターナーの後期の作品を集めた展覧会)およびTurner Prize 2014展(今年のターナー賞受賞作品の展示会)を観に行った。

Tate Britainには常設の充実したターナーの展示部屋が既にあるので、Late Turner展で初めて観た絵でも、特別、未知な何かを観たという気にはならなかったが、後期の、殆ど抽象画に近い淡い光の絵画群は、いつみても凄まじいきれいさだった。水彩のスケッチも多く展示されており、水彩だとあの淡い光の感じが更に素朴な感じで出ていた。完成品の油彩になると、少しドラマチックすぎると感じることもあるが、水彩だと、ほど良くなる。

from the Guardian website

Turner Prize展のほうは、Ciara Phillipsというシルクスクリーンを用いた巨大なプリントを部屋中に敷き詰めた作品が良かった。他のものは良くわからなかった。わりとサクサクと見て、部屋を出た。

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会場を出たところには、来場者がこの展示会へのコメントを書き込むボードがあり、面白いことにそれぞれのコメントに対して、全てTateスタッフによりレスがつけられていた。最も大きく太い文字サイズで書かれていて、目立っていたコメントは、「MUM I AM GAY!!」という展覧会に一切関係ない叫びで、それに対し、「誇りを持て、皆にシェアしろ」というレスが書かれていた。

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更にTate Modernに移動し、Sigmar Polkeの回顧展を観た。

from Tate website

Alice in wonderland from the Guardian website

基本的に何かの上から何かを描くという手法を好んでいたようで、既成の布だったり、写真だったり、あるいは透明なフィルムだったり、ビデオだったり、あらゆる素材に落書きのようなスケッチを書きなぐりまくった生涯だったようだ。この人の展覧会は、数年前に上野でみたことがあったが、その時の展覧会は上の「不思議の国のアリス」という作品を中心に構成されていて、キッチュなパターンやドット柄、ちょっとかわいい色使いなどの印象が強かったので、何か幻想的な作風の作家なのかと思っていたが、どちらかというと確信犯的なポップアートに近い、ひたすら視覚的ショックを追い求めた奔放な作風だったようだ。当時、そのような作家は他にも大量にいたと思うが、多くの場合、きれいな芸術からの反動で、汚く重い画面を作りがちだったトレンドの中で、この人はやはり色とパターンの選択のセンスが洒落ていたため、「無邪気な人」という最も自由で便利なポジションにいられたのではないかと思われた。

テムズ川周辺はクリスマスマーケットが多数、出ており、多くの人で賑わっていた。自分は特に何も買う物は無かったが、様々な人がそこかしこで楽しそうにお菓子を買ったり、ピクルスを買ったり、飾り物を買ったり、何か木彫りのカゴのような物を買ったりするのを、しばらく眺めていた。

_DSC9750- _DSC9752- _DSC9753- _DSC9756- _DSC9769-昔、高田渡が良いことを歌っていた。「見えるものはみんな人のものだよ 」

豆腐

帰宅。肉豆腐的なものを作成し、食べた。月曜に何となく豚肉の薄切りをやや多めに購入したことにより、月、火、水と全て夕食は肉うどんとなっていたが、今日の肉豆腐で、豚肉は終了した。連続で似たようなメニューを作っていると、日ごとに調味料の加減が分かってきて味が向上するのが分かり面白い。

Norberto lobo

Cafe OTOにNorberto Loboの演奏を聴きにいった。ギターのみで多様なアンビエントノイズを生み出しながら、時折パラパラときれいな分散和音を重ねて、リズムがあったりなかったり、静かだったりノイジーだったり、行ったり来たりしている感じの音楽で非常に良かった。

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本人はとてもシャイな感じで、演奏後は何か恥ずかしそうにチョコチョコと何度も頭を下げて拍手に応えていた。もう十分、十分といった感じでそそくさとひっこんでいったが、アンコールに答えてもう一曲やってくれた。