Momentum

午後からロンドン市内で業務があったので、終了後、Barbicanに行き、United Visual ArtistsのMomentumというインスタレーションを見た。ゆるくカーブを描く室内に、大きな振り子のような照明が規則的にぶら下がっていて、ゆっくり揺れながら空間を光で歪ませていくというもので無機質で、感情のない自然現象のようで、良かった。

会社の同僚の方々とステーキ屋で肉などを食べたあと、パブに2軒ほど寄りつつ、blackfair駅まで歩いて、そこから電車で帰宅した。寒かったが、そんなに寒すぎず、冬のピークはいつの間にか終わっていたのかと思った。

Dungeness

イギリスの南東部、Kent州にあるDungenessという岬に突発的に行った。(上記の航空写真はWikipediaより引用)もうずっと前の事になるが、会社の同僚に、戦時中に建設されたトーチカの存在感が好きだという話をしたところ、この場所を勧められた。ずっと忘れてしまっていたが、昨夜、急に思い出して、行ってみる事にした。

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ここにはイギリスでも最大級の丸石の浜が広がっており、船を引き揚げるのに使っていたと思われる古いウインチや、朽ちた船などが転々と遺されている。

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この船はOspreyと名付けられていた。オスプレイというと以前、ニュースになっていた米軍の最新鋭の垂直離着陸機と同じ名前だが、こちらは既に役目を終えて傾きながら朽ちていた。

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カメラと三脚を持った人たちが幾人かウロウロしており、それぞれの詩情を満足させる何かを探していたっぽかった。とにかく朽ちたものばかり周りにあり、景色が殺風景すぎて、新しいものすら、外界とは全く関係のなくなったもののように見えるので、被写体には欠かないだろうと思う。

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枯れた感じの軽食屋にて食事(サンドウィッチ)をとる。

ここには、相当、こじんまりした鉄道駅があり、どうやら蒸気機関車が来るようだったので、しばらくそれを待った。カシュカシュとやって来た蒸気機関車が思っていたよりずっと小さく、比較対象が写っていないので大きさが分かりにくいが、車高は大人の背丈より低かった。乗ってみようかとも考えたが、面倒になって見送った。何もないところを割ってゆっくり去って行くのはきれいではあった。

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浜は、基本的に凄まじい風速の横殴りの風がずっと吹いており、風に押されてバランスを崩すことが何度かあった。自分の前を行っていた3〜4歳くらいの男児がMammy-と叫びながら飛ばされて行くのを見た。

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波打ち際が激しく荒ぶっているにも関わらず、30人程の釣り人が一列に並んで、何かを釣ろうとしていた。何が釣れるのか知らないが、このひどい風の中で命知らずな人々が30人もいるので、なぜか笑えてしまうものがあった。

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Dungenessには原発が2基ある。Dungeness Aというものと、Dungeness Bというもの。

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こういう僻地にはままあることだと思うが、小さな絵画スタジオがあった。こんな殆ど誰も来ないようなところにもかかわらず、WELCOMEなどと書かれた看板が立っており、扉が大きく開け放たれていた。

人との関わりを避けながらも、人と交流したがっているような背反した感じが、何となく、自分の中にある直視したくない部分を刺激して危険な感じがしたので、中には入らなかった。

少し車で場所を移動し、Sound Mirrorという、1930年頃、海岸の警備用に建設された、コンクリート製の巨大な反響壁を見られるポイントを探していたら、トレーラーハウスが大量に設置されている一画に迷い込んだ。別荘用として、一棟£20000-£50000くらいで売りに出されていた。住んでいる人も何人かいたようだ。

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最終的に別な道から奥に入ったところで、Sound Mirror(Listening Ear)を見られるポイントを見つけた。夏にはウォーキングツアーがあってもっと近くまで寄れるようなのだが、今回はここが限界だった。左にあるのが円弧型のもので、右に2つあるのがパラボラ型のもの。この壁が遠くからの音を集音するので、前に立つと、周囲の音が拡大されて聞こえるらしい。

いろいろ見たので、長い記録になった。

Clapham Sainsbury’s superstore

以前から何度か前を通りかかって気になっていたClaphamのSainsbury’sに行ってみた。調べても誰の設計か正確には分からなかったのだが、以前、訪れたCamdenのSainsbury’s superstoreと同種のメカメカしい造形で、おそらく同じニコラス・グリムショウの設計だと思われる。明らかに違和感のある三角形のとんがりが面白い。

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エントランスはSainsbury’sロゴが意味なく三連発していて、遠慮のない形状が清々しい。_DSC0119 _DSC0109

全体的にテントっぽく、骨組みと表皮がはっきりと分離して分かる形状になっている。_DSC0115

調べによるとこの黒いパネル群はディスプレイで、当時、イギリス初の大規模屋外広告ディスプレイになる予定だったらしいが、一度も使われる事なく計画は散ったようだ。ディスプレイがそもそも入っているのかどうかすら良く分からなかった。

その後、South London Galleryに行き、Uri Aranというイスラエルの美術家の展示を見た。写真とかオブジェとか映像とかを使って何らかの物語を構成しているようだったが良くわからなかった。今回のものに限らず、いろいろな展示の解説文でよくNarrative(物語風な)という単語を見かける。

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更に帰宅途中、Kia Ovalというスタジアムの側を通りかかり、少し変わった形をしていたので近くに寄ってみた。帰宅後、調べたところによるとHOKという巨大な組織設計事務所の設計によるもので、設立者のひとりはGyo Obataという日系のアメリカ人で、エーロ・サーリネンの研究室で建築を学び、その後SOMで働き、その後HOKを立ち上げたようだ。

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Sainsbury’sにて鋳鉄製のグリルパンが安売りで13ポンドで売っていて、意味なく衝動的に購入していたので、それを使って適当に肉を焼き、食べた。実際においしく焼けて、フライパンで焼くよりおいしいような気もしたが、思い込みかも知れず良く分からない。

これおいしいけど高い

業務後、日本から来ていた出張者の人とGroucester roadにある日本食屋に行った。1年と数ヶ月前、研修で短期間イギリスに来ていた際に滞在していたアパートのすぐ近くにある店だったが、その頃はその店は無く、わりと最近できた店のようだった。Groucester road駅に降りるのも1年以上ぶりのことで、イギリスで初めて入ったパブの前なども通過し、もう二度とここへ来ることもないだろうと思っていた当時の記憶が思い出された。東京の不忍池そばの歩道が、自分とっては受験に落ちた記憶を思い起こさせる場所であるように、何らかの喪失感と結びついた場所は忘れがたいものだ。

Ryuichi Sakamoto + Taylor Deupree

_DSC0088 _DSC0089 _DSC0090W氏と共にRyuichi Sakamoto+Taylor Deupreeのライブを観に行く。HackneyにあるSt.Johnという教会でのライブだった。坂本龍一以外にも2組の演奏があり、1人目のGareth Dicksonという人が非常に良く、深くリバーブをかけてギターをポロポロと弾くだけのシンプルな音で、疲れのないきれいな音だった。Taylor Deupreeと同じ12Kからアルバムを出しているようだ。2人目はRoly Porterというノイズ音響系の人で、星雲のような映像を投影しながらザワザワとしたノイズを出していた。

Taylor Deupreeはパソコンでなく、何かしか大量の配線が露出した機械に手を添えて、曲のベースとなる、大きな変化はないけど流れるような感じのデリケートな音を操り続けていて、そこに坂本氏が、ピアノの弦を直で叩いたり鍵盤ハーモニカのようなもので緩く和音を乗せたりして変化をつけていた。アナログ感があって良かった。

座れる席がなかったので、白い壁に寄りかかって見ていたが、帰宅したらコートに白い粉がたくさん付着していたので濡らしたタオルで拭き取った。

Speedy Ortiz

DSC_0518業務後、DalstonのBIRTHDAYSというライブハウスにSpeedy Ortizのライブを観に行った。どことなくNirvanaとかSonic Youthっぽさのあるザクザクとしたグランジロックで、昨年でたMajor arcanaというアルバムが好きだったので、行ってみた。ボーカルの女性が、ミニスカートのワンピースを着て、ジャガーを使用しつつ暴力的なノイズを出していたあたり、ある特定の層の心を掴むようで、前に立っていた数人の男性が、ひたすらiPhoneで写真を撮影していた。自分も少なからずその層に含まれるだろう。ギターの男もアクションの割にややヘニョヘニョしたギターノイズを意味なく連発しており、とても良かった。曲もポップ感があり、良かった。

自分の真横では、殆ど体を動かす事なくバンドを凝視している若い女性がいたが、ほとんど微動だにしていないように見えるのに、徐々にポジショニングを変えていたようで、気がつくといつのまにか最前列に到達していたようだった。

Brixton Pound

Brixton-Pound-10-front-actual21同僚より1Brixton Pound紙幣をもらった。Brixton poundというのはロンドン南部のBrixtonという街でのみ使用できる地域通貨で、イギリス国内に現在5つある地域通貨のうち、都市部で使用されている初のものらしい。1 Brixtonポンドは通常の1ポンドと同じ価値だが、加盟店でBrixtonポンドで支払うとディスカウントが得られる利点があるようだ…。

紙幣のデザインが美しくて、鮮やかな蛍光色の色彩とダイナミックなレイアウトが面白く、なんとなくこの通貨を使ってみたくなるような気持ちを起こさせる。地域通貨の試みは、世界各地でいろいろ行われているのだと思うけれども、地域経済への理解と、特に導入初期は損をしてでもそれを使うという献身的なコミュニティへの参加が必要になってくるだろうから、利用者を増やしていくのは非常に難しいのだと思う。でもこのブリクストンポンドの紙幣デザインを見て、これを使っていることが格好よく見えると感じる利用者も少なくないのではと、思った。仲間うちだけでしか通用しないものには特別な価値が生まれる。日本では、昨今、ローカルに根ざすことが若年層を中心に市民権を得ている感があったが、それはイギリス等でも同じなのかもしれない。ローカルの食事、音楽、貨幣…よく調べていないので、分からないが…。

かつて住んでいた高田馬場でもアトム通貨という地域通貨が流通していたが、一度も使う機会はなかった。

(写真はBrixton Poundのwebsiteより引用)

意味なく天気が良い

DSC_051711時ごろ、少し早めの昼食を食べに近所の軽食屋にいって適当にハンバーガー等を食べたのち、スーパーに寄り肉団子などを購入して帰宅した。しばらく調べもの等をしていたら眠くなり、そのまま夕方前くらいまで眠ってしまった。今日は、思った程、昨日の疲れを感じなかったが、どこにも出かけないと決めていたので、あとは家で本を読んだり作業をしたりして過ごした。夕食には、作り置いて冷蔵庫内にあった野菜のコンソメ煮に、入手した肉団子を投入して再生させたものを食べた。まだ食べきれなかったので明日もこれになるだろう。